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高校1年生 (19)

やはり翌日、青花はケロッと学校に来た。しかし、今回はそれで終わらなかった。 青花の休む頻度が少しずつ増えていって、九月中は始業式の日、十月は中旬に一回と月一で起こるようになったかと思うと、十二月になった時には月に二回になってしまい、青花は検査を含め入院することになった。 青花の居ない教室は寂しくて、青花が休んだ分のノートをまとめるために時間を使い、寂しさを紛らわして、授業が終わると真っ先に青花の病院へ向かった。 病室に入ると、病衣に身を包んだ青花がベッドの頭側を起こして本を読んでいた。 「青花、体調どう?」 「おつかれ颯太。うん、今日はいい方だよ」 いい方だ、とは言っているもののあまり顔色はよくない。度重なる発作といくつも行われる検査で疲れているように見える。夏休みに泊まりに来た時より痩せたような気がする。 「はい、これ今日の分の授業ノートと学校からのプリント」 「ありがとう。毎日大変だよな。ごめん」 「いいよ。俺がやりたくてやってることだから」 俺は毎日その日の授業を全部自分のノートの他に青花の分の板書もして、その日のうちに青花の病室に持っていくようにしている。 渡したノートは翌日の昼間に青花が勉強するため、入れ替えられるようにノートを2冊使い俺が交互に持って行って板書をしてきている。 青花が戻ってきた時に授業に追いつけるように、それしか考えていなかったため、板書以外の先生の口頭指導なんかも全て青花のノートには記載していた。……自分のにも書けばよかったかな。 それから青花は年越しを病院で過ごし、冬休みが明けた1月にはまた学校に通えることになった。 ――ピンポーン 寒空にインターホンのチャイムがよく響いた。どの季節でも朝投稿する時間は変わらないのに、冬に限っては時間が止まっているように感じるから不思議だ。 「はーい。颯太くんおはよう。青花今着替えてるからちょっと待ってね。寒いでしょ?中入って待ってて」 「菫さんおはようございます。すみません、お邪魔します」 玄関で待っていると青花のパタパタ階段を駆け降りる音が聞こえてくる。これが新しい俺の日課だ。 毎朝早く出て青花を家に迎えに行く。そこから学校に通っている。帰りもしっかり家まで送り届けるようにしていた。 退院が決まって最後に病院に行った日、俺が毎日お見舞いに行っていることを知っていた医者が少しだけ話をしてくれた。 「青花くん、もういつ発作が起きてもおかしくない状態なんだ。だから、近くで見守っていて貰えるかな?何かあったらすぐ病院に連絡をして欲しい」 青花の病気は病院側からしても治療法が見つかっていない手前、観察をしていく他無いという。 それから俺は毎日青花の送り迎えをして、学校でも常に近くに居るようにしている。恋人としては万々歳だ。 それからは何事もなく、本当に何事もなく過ごせていて、俺たちは高校二年生になった。 しかしこれが正直怖かった。「嵐の前の静けさ」という言葉がこの不安に一致していた。 そんな矢先の五月、青花は下校中に約五ヶ月ぶりの発作を起こして倒れた。 慌てて俺は救急車を呼び、次いで病院と菫さんにも連絡をする。呼んでも呼んでも青花の乱れた呼吸で俺の声は届くことはなく、青花は発作を起こして初めて意識を失った。

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