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高校2年生 (4)

「なあ青花、本当にいいのか?」 「そりゃもちろん。颯太が選んだことだから」 「お前な……」 翌日、俺が出した答えを青花に伝えると、昨日の最後と同じ笑顔で「わかった」と答えた。 俺は青花と一緒に居たい。生きている青花と少しでも長く。だからこそ今この一分一秒を大切にしようと思う。 それから時が経つこと一ヶ月、日付は六月十八日、場所は橘家、俺は菫さんと台所に立っていた。 「すみません俺不器用で……」 「あら、そんなことないわよ?颯太くんが手伝ってくれなかったら全然終わらなかったもの」 豪華に盛り付けられた料理を運びながら菫さんは言った。 「だって、これが最後かもしれないじゃない?」 平静を装うその笑顔が何より胸を締め付けた。 飲み物を買いに行っていた青花が帰宅し、酒類を持って母さんがやってきたところで青花の17歳の誕生日パーティーが始まった。 鮮やかでカラフルな色に盛り付けた料理たちを見て、青花は幼い子供みたいに目を輝かせた。 「……これ母さんと颯太でやったんでしょ?」 「まあな」 「凄い!綺麗!颯太の誕生日の時は俺がやってあげるね!……颯太の誕生日っていつだっけ?」 「おう、サンキュ!誕生日は……」 日付を答えると、先程までキラキラさせていた表情にだんだん影がかかっていった。 「そっか、九月三十日……。俺祝えないのか」 「来年でも再来年でも、十年後だって構わないよ。待ってるから。ほら、冷めるから早く食え」 わかった、と言って料理を口に運ぶとたちまち表情は明るさを取り戻した。 食事が終わり、みんなでプレゼントを渡すことになった。菫さんからは青花が欲しがっていたワイヤレスのイヤホン、母さんからは1万円分のネットショッピングで使えるギフトカードが渡された。 俺は両手にすっぽり入るサイズのクマのぬいぐるみを手渡した。 「病院行っても何かしら置いておければ見て思い出せるだろ?」 首にはクマが抱き抱えるようにしてロケットペンダントがついていて、カチッと押すと中に入った写真が見える。 「え、俺たちの写真……」 「会えない間も寂しくないかなって……俺結構恥ずかしいことして――」 「そんなことない!ありがとう颯太!最高に嬉しいよ!」 そう言って青花は小さなクマを力いっぱい抱きしめ、何度も何度もロケットペンダントを開けてはニヤけてを繰り返した。 そのまま泊まることになった俺は風呂を借り、先に入ってきた。下の階で母さんと菫さんは2人でお酒を飲み交わしていた。 青花の部屋に上がると、ベッドに腰掛けた青花はじーっとロケットペンダントの写真を眺めてはクマを撫でていた。 開いているドアをコンコンと叩き、風呂が空いたことを伝える。青花は名残惜しそうにクマを置き、風呂に向かった。 「可愛すぎるだろ……。さて、すこーし準備しますか」 部屋を装飾しながら緊張で震える指に息を吐いた。

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