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第10話(2)
月夜なんて風呂から上がった時、俺がいなくて焦るといいんだ。
俺に素っ気ない態度をとった月夜が悪い。
ざまあみろっ!
「…………はあ」
……だが、月夜はきっと、俺なんかなんとも思っていないんだろうな。
そうじゃなかったら、今日が何の日か覚えてるはずだ。
「馬鹿みたい」
好きっていう気持ちも俺ばっかりで、月夜はそうじゃなくって……。
ああ、もしかすると俺、もうすぐ捨てられるのかな。
月夜にいらないって思われてるのかもしれない。
ひょっとして好きな女性でも見つかったのかもしれない。
そういえば、最近ひとりの女性記者と仲良く話しているのをよく見かける気がする。
きっと彼女がそうなのだろうか。
記者なら月夜が望むことを知っていそうだし、華道家のこともよく知っているだろう。それに何より、彼女たちは綺麗に着飾っている。
だが、俺は違う。
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