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第10話(3)
華やかな世界に俺みたいな紛 い物はいらない。
だったら……月夜の邪魔をしちゃ悪い。
葉桜家の跡取りとして、月夜が歩く道は光で照らされるべきだ。
男の俺と恋仲になるなんてあってはならない。
「家に、帰ろうかな」
一年前と同じように、父さんと母さん。それから双子の妹・花音 と四人で元通り一緒に暮らすんだ。
月夜がいない日常に戻るんだ――。
ああ、だけど。月夜と離れたくないって思う自分がいる。
月夜、俺のこと、ずっと好きだって言ってくれたのに……。
胸が苦しい。
痛い。
どうして俺は男に生まれたんだろう。
どうして俺は月夜を好きになったのだろう。
この想いはけっして報われるはずがないのに。
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