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第10話(6)
それってわざわざ探しに、来てくれたのだろうか。
トクンと心臓が大きく跳ねる。
少し月夜に心配されたぐらいで俺の身体は正直者だ。すぐに反応するのだから。
「ダメじゃないか。風呂上がりで、しかも一人で外に出たら!」
別に俺だって夜に出歩きたいたわけじゃない。
誰の所為 だと思ってるんだ。
「別に男だし平気……」
「そんなわけないだろう? 亜瑠兎、君は今、とても艶がある表情をしているんだよ?」
ふんっとそっぽを向いて返事をすると、月夜が怒鳴った。
なんだよそれ。
自分のことを棚に上げて俺のことを怒るなんて。
そもそも俺が夜に出歩く原因は月夜にあるのにっ!!
「月夜が悪いんだ! 今日が何の日か忘れているからっ!!」
俺もここが外だということを忘れて怒鳴った。
「亜瑠兎、おいで」
「えっ? なにっ?」
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