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第10話(11)
俺は無様に泣きべそをかきながら告白する。
そして気がついたのは、自分は月夜にプレゼントするものが何もないっていうこと。
「だけど俺、どうしよう。月夜に渡すもの、何もない」
俺の方が馬鹿だ。月夜に愛されることばかりを望んで、プレゼントするものを何も考えていなかったんだから。「どうしよう、月夜……」
半べそをかきながら月夜を見上げると、月夜の笑う気配がした。
「本当に可愛いなあ、亜瑠兎は……」
そう言って、月夜は俺の頭を撫でる。
その手があたたかで、優しくて――。
また、泣けてくる。
「亜瑠兎がプレゼント。それでいいよ。俺は亜瑠兎がいてくれたら何もいらないから」
そう言って、月夜は俺の額に口づけた。
本当に、月夜は王子様だ。
意地悪な時もあるけれど、とても優しい、俺の王子様。
記念日のその日。俺はずっと月夜の腕の中であたたかな涙を流し、泣いた。
**END**
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