100 / 103

第10話(11)

 俺は無様に泣きべそをかきながら告白する。  そして気がついたのは、自分は月夜にプレゼントするものが何もないっていうこと。 「だけど俺、どうしよう。月夜に渡すもの、何もない」  俺の方が馬鹿だ。月夜に愛されることばかりを望んで、プレゼントするものを何も考えていなかったんだから。「どうしよう、月夜……」  半べそをかきながら月夜を見上げると、月夜の笑う気配がした。 「本当に可愛いなあ、亜瑠兎は……」  そう言って、月夜は俺の頭を撫でる。  その手があたたかで、優しくて――。  また、泣けてくる。 「亜瑠兎がプレゼント。それでいいよ。俺は亜瑠兎がいてくれたら何もいらないから」  そう言って、月夜は俺の額に口づけた。  本当に、月夜は王子様だ。  意地悪な時もあるけれど、とても優しい、俺の王子様。  記念日のその日。俺はずっと月夜の腕の中であたたかな涙を流し、泣いた。 **END**

ともだちにシェアしよう!