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第1話(9)

 景色が変わる。  にこやかに笑う隼翔さんが見えなくなったかと思えば、月夜の綺麗な顔が俺の目の前にあった。  で、今、俺はどういう体勢かというと……。  月夜に横抱きにされていたりする……。 「あの、月夜?」  しどろもどろになっている俺に対して、月夜はとても冷静だ。というか、なんか、怒ってない?  隼翔さんに背中を向けた。  え?  家の中に入るの?  だってまだ隼翔さんと話している途中なのに? 「隼翔、金輪際(こんりんざい)、亜瑠兎に近づくな!!」  月夜はそう吐き捨てて、俺を横抱きにしたまま玄関のドアを器用に開けた。 「やれやれ、君も大変な人に好かれてしまったね」  月夜には返事もせず、隼翔さんは視線を俺に向け、肩をすくめた。  そうして、俺の視界は勢いよく閉まる玄関のドアによって遮られた。 「あ、あの! 月夜、隼翔さんがっ……んぅ!?」

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