25 / 103
第1話(18)
「っひ、ごめ、なさっ!」
それでも別れたくなくて、未練がましく謝り続ける。
すると突然、俺の身体があたたかいものに包まれた。
「ごめん。亜瑠兎、ごめん」
耳元には月夜の声が聞こえる。
だから、このぬくもりは月夜のものだとわかった。
「隼翔が……亜瑠兎を気に入ったようだったから……ごめん。嫉妬しただけなんだ」
つき……や……?
「君が隼翔に取られるんじゃないかと思ったら……こんなこと……。君を疑う必要なんてなかったのにね。ごめん」
月夜……。
どんなことを言われても、何をされても……俺、月夜が好きだ。
「いいんだ。月夜なら……何をされてもいい。俺……あなたなら、ぜんぶ、あげられる」
だからそんな、苦しそうな顔をしないで。
「亜瑠兎……君は……。あまり、可愛いことを言わないで。君を壊してしまいそうになる」
……いい。
月夜になら……壊されてもかまわない。
ともだちにシェアしよう!