36 / 103

第2話(5)

 月夜の舌が俺の口内で自由気ままに動く。  まるで俺の口内は自分の物だって言っているみたいだ。  重ねた唇から月夜の体温が伝わってくる。  ふわふわする。 「ん……っふ……」  いやらしい声が出てしまうのは、月夜が俺を刺激してくるからだ。  …………だめ。  膝にうまく力が入らない。  月夜にすべてを預けようとした時だった。  月夜の唇が俺から離れた。  どうして?  もっとキスしたい。  もっと月夜を感じたいのに……。  瞬きして見つめると……月夜は眉根を寄せて苦笑する。 「あまり、かわいい態度をとらないで。俺が我慢できなくなるから。亜瑠兎が欲しくなる」  っんな!!  月夜は、さらっとキザなことを言ってくれるから困る。  おかげで顔がさっきよりもずっと熱くなってしまった。  きっと、耳まで真っ赤になっていることだろう。  どうしてくれるんだよ。  俺が(にら)めば、身体が宙に浮く。  例のごとく、横抱きにされてしまった。

ともだちにシェアしよう!