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第2話(5)
月夜の舌が俺の口内で自由気ままに動く。
まるで俺の口内は自分の物だって言っているみたいだ。
重ねた唇から月夜の体温が伝わってくる。
ふわふわする。
「ん……っふ……」
いやらしい声が出てしまうのは、月夜が俺を刺激してくるからだ。
…………だめ。
膝にうまく力が入らない。
月夜にすべてを預けようとした時だった。
月夜の唇が俺から離れた。
どうして?
もっとキスしたい。
もっと月夜を感じたいのに……。
瞬きして見つめると……月夜は眉根を寄せて苦笑する。
「あまり、かわいい態度をとらないで。俺が我慢できなくなるから。亜瑠兎が欲しくなる」
っんな!!
月夜は、さらっとキザなことを言ってくれるから困る。
おかげで顔がさっきよりもずっと熱くなってしまった。
きっと、耳まで真っ赤になっていることだろう。
どうしてくれるんだよ。
俺が睨 めば、身体が宙に浮く。
例のごとく、横抱きにされてしまった。
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