38 / 103
第2話(7)
――というか月夜。少しは次期当主だっていうことを自覚しろよ!!
百歩譲って、花音のままなら、まあ、いいとしよう。
だらしない姿を世間に見せるのはダメだけど……。
でも、今の俺は花音じゃない。
亜瑠兎なんだ。
亜瑠兎は男で、女じゃない。
当然、世間体っていうものがあるわけで……。
『お姫様だっこ』で登校とかダメだろう!!
葉桜の名前に傷が付く!
月夜の顔を見上げれば……。
「ああ……そうか」
――のひとこと。
はいぃいいっ?
あまりの間の抜けた返事が返ってきて、口をあんぐり開けてしまう。
月夜はそんな俺を見てか、ひとつ苦笑を漏らして首を振った。
「俺にとって、亜瑠兎は大切な存在だから、腕の中にあるのが当たり前というか……君と離れるなんて考えられないんだよ」
っんな!!
月夜の言葉は俺の顔を熱くさせる。
ボンっという音が聞こえてくるかもしれないほどに……。
ともだちにシェアしよう!