45 / 103
第3話(6)
「どうかしたかい? なぜ泣いているんだい?」
眉根を寄せ、尋ねる声音はとても優しい。
おかげで拭ったばかりの目には涙がまた込み上げてくる。
「はやと、さ。つきや。……つきやが……俺、わかれなきゃ……っひ、っく……ううっ……」
悲しみで力を失った俺はその場で蹲 り、泣いた。
――――。
――――――。
「落ち着いた?」
隼翔さんは俺の顔色を窺いながら、ローテーブルにホットミルクを置いた。
「あの……すみません。押し掛けてしまって……」
ひとしきり泣いた俺は今、隼翔さんの部屋にいる。
「いいよ、俺の用事はちょうど終わったところだったからね。ゆっくりするといい。――それより、いったいどうしたの? 月夜と喧嘩……はしないか。彼は君に対しては甘そうだもんね……」
ともだちにシェアしよう!