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第3話(7)
隼翔さんは苦笑した。
「…………」
……なんだろう。
やっぱり隼翔さん、月夜と似てる……。
姿とかそんなんじゃなくって雰囲気が似てるんだ。
華道家って、みんなこういう雰囲気の人ばかりなんだろうか。
……いや、だけど嘉門さんはとても厳格な感じだ。月夜と隼翔さんとはまたちょっと違う。
じゃあやっぱりこの二人が似ているだけなのかな。
――月夜。
隼翔さんを通して月夜を重ねてしまう俺は、自然と視線は下を向く。
……月夜と別れなければならない……。
『いつか』なんて悠長なことは言っていられない。
いいお見合いの話があるんだ。
月夜のためを思うなら、今すぐに別れなきゃ……。
じゃないと、俺のせいで月夜の大切な一生が台無しになる。
「亜瑠兎 くん? 大丈夫?」
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