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第3話(9)

「俺……」  隼翔さんの仕草が、硬く閉ざしていた俺の唇を開かせる。 「月夜、見合いするんだ。だけど俺はそれを知らなかったんだ」  いつかは月夜とは別れなければならない。  だけど俺たちはまだ高校生だし、急がなくてもいい。  まだ大丈夫。  まだ別れなくてもいい。  そう勝手に決めて、居心地のいい月夜の隣にいた。  でも……。 「月夜が見合いをするって言わなかったのは、きっと月夜にとって俺が打ち明けるほど重要でもないからで……。 俺ばっかりが、月夜を好きなんだ……。 もしかしたら月夜は俺と別れたがっているかもしれないのに、優しさに甘えてそんなことも気づかなかったんだ……」  ああ、まずいな。  俺の声、すごく震えている。  思っていることを言葉に出せば、目から涙がこぼれ落ちた。  握りしめている両手に雫が落ちる。

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