49 / 103
第3話(10)
「亜瑠兎くん……」
「仮に、今回は月夜にその気持ちがなかったとしても、いつかは離れなければならない運命 だってこと、俺、知ってます。
そこまで自惚れてないし、自分が価値のある存在でもないことも、知っています」
……だけど……俺は月夜から離れられない。
「俺……なんて……馬鹿なんだろう……」
こんなにハマって。
ひとりで気持ちを大きくして……。
「亜瑠兎くんは、月夜とお別れするつもりなの?」
絶望に染まった俺の頭に、隼翔さんの言葉が響く。
胸が苦しくて言葉が出せない代わりに、俺はゆっくり頷いて見せた。
「……そう」
隼翔さんはひとことそう言うと、ソファーから腰を上げ、どこかへ行ってしまった。
俺は気分を落ち着かせようと、隼翔さんが入れてくれたミルクを一口、口に含む。
ともだちにシェアしよう!