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第3話(10)

「亜瑠兎くん……」 「仮に、今回は月夜にその気持ちがなかったとしても、いつかは離れなければならない運命(さだめ)だってこと、俺、知ってます。 そこまで自惚れてないし、自分が価値のある存在でもないことも、知っています」  ……だけど……俺は月夜から離れられない。 「俺……なんて……馬鹿なんだろう……」  こんなにハマって。  ひとりで気持ちを大きくして……。 「亜瑠兎くんは、月夜とお別れするつもりなの?」  絶望に染まった俺の頭に、隼翔さんの言葉が響く。  胸が苦しくて言葉が出せない代わりに、俺はゆっくり頷いて見せた。 「……そう」  隼翔さんはひとことそう言うと、ソファーから腰を上げ、どこかへ行ってしまった。  俺は気分を落ち着かせようと、隼翔さんが入れてくれたミルクを一口、口に含む。

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