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第3話(11)

 ゆっくりと嚥下すれば、本来はほんのり甘いミルクの味がするはずなのに……なぜだろう。  口の中はしょっぱい塩の味がした。  ややあって隼翔さんは戻ってくると、俺の隣に腰掛けた。  俺も隼翔さんも何も言わない。  静かなだった。  時間を刻む針の音だけが聞こえて来る。  頬に涙が伝っているのがわかる。 悲しいのに、苦しいのに大声で泣けないのはこれ以上自分が惨めになるのがイヤだからだ。  これから、どうすればいいのかなんてわからない。  ただわかるのは……月夜と別れなくてはならないということだけ。  それだけだ。 「亜瑠兎くん……」  名前を呼ばれて、伸びてきた影に視線を上げれば、俺は突然ソファーに押し倒された。 すぐ目の前には隼翔さんがいる。  ――えっ?  なに?  意味がわからなくて瞬きすると、隼翔さんが口を開いた。

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