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第4話(3)

 ごめん。  月夜は最後にそう言い終えると俺の首筋に唇を当てて謝った。  月夜は卑怯だ。  だって謝られたら許すしかなくなる。 「俺……いつかは……月夜に捨てられると思うんだ。だから……」 「捨てない!! 亜瑠兎は俺の特別な存在なんだ!!」  月夜は俺の言葉を遮り、さらに話す。 「亜瑠兎……俺は君しかいらない。どうすれば君が愛おしいとわかってくれる?」 「俺……男だし……。月夜の子供、生めないんだっ!」  胸のふくらみだってない。  あるのは月夜と同じ成り立ちをした身体だけ……。  月夜には跡継ぎがいる。  だから俺と一緒にいちゃ、いけない。  別れなきゃいけない。  今も苦しいけれど、ずっと月夜と一緒にいれば、今以上に月夜を好きになる。  そうなれば、俺、月夜からもっとずっと離れられなくなる。 「別れなきゃ、いけないんだ……」

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