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第4話(4)

 そう言ったのは月夜にじゃなくて、俺自身に、だ。  だって、月夜と別れたくないって心の底からそう思っているから……。  ぼそっとつぶやけば、耐えていた涙が目からこぼれ落ちた……。  別れなきゃ。  側にいちゃダメだ。  そう思うのに……。  月夜のことを本当に想うのなら、さようならをしなくちゃ。  でも、だけど……。 「だけど、どうしよう。月夜、俺、貴方と別れたくない……わかれたく、ないっ……」  言ったとたん、目尻に溜まっていた涙が零れた。  するとそんな俺を慰めるようにして、月夜が俺を抱き締めてくれるんだ。 「亜瑠兎、愛している。頼むから、俺から君を奪わないでほしい」  ……月夜。  歪んだ視界のまま、顔を上げれば、俺の身体がベッドから起こされた。  ベッドに腰掛ける俺の前に月夜がひざまずいている。 「亜瑠兎、愛している」 「っつ!! 月夜!?」

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