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第4話(5)

 俺の声が裏返った。  だって俺のつま先のそこに、月夜の唇が触れたんだ。 「月夜!? なにしてっ!!」  足を引き抜こうとしても月夜は逃してくれない。  そうしている間にも、俺の指ひとつひとつに唇を落としていく……。 「月夜、離してっ!」 「俺がどれだけ君を愛してくれているかわかってくれるまで止めない」  上目遣いで告げてくる月夜の目は鋭く、光っている。  それに目は少し充血しているみたいに見える。  ……この顔は知っている。  俺を求める時の顔だ。  どうしよう。  背中がゾクゾクする。 「月夜!!」 「だいたいね、君を想っていなければ、隼翔から、『今から亜瑠兎を奪う』とか電話で言われても、まだ終わっていない門下生との講義を抜け出して来るわけないじゃないか」  えっ?  月夜は何て言った?  抜け出してきた?

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