63 / 103

第4話(6)

 俺は、ぱちくりと瞬きして月夜を見ると、彼はにっこり微笑んだ。  月夜の人生にとって、門下生は必要だ。  それなのに、まったく悪いと思っていない。  俺の身体から、さあっと音を立てて、血の気が引いていく。 「月夜!!」  俺は月夜を(にら)んだ。  だって、全然悪気がなさそうにしているんだ。  門下生をほっぽり出すなんて次期当主のすることじゃない。 「俺は逃げないから、早く戻れ!!」 「亜瑠兎?」  俺のせいで月夜の人生がグチャグチャになるなんて、そんなのはイヤだ。 「嘉門さんのとこに早く戻れ!!」  俺は慌てて、月夜の胸板をグイグイと押す。 「終わった後、君を愛させてくれる?」  そうしたら、月夜は眉毛をハの字にして首を傾げてきた。  ……うっ。  それは……つまり…………?

ともだちにシェアしよう!