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第4話(8)
「っん……」
口角を上げて微笑む月夜は、綺麗で……だけど、怖い。
月夜は本当に早苗 さんに似ている。
優しくて包容力があって、おしとやかに見えるのに、どこか強い部分があるんだ。
だから俺は月夜から逃げられない。
かなわない。
俺の王子様は最強だ。
「わかった……わかったから、お願い! 早く戻って!!」
俺は始終笑顔の月夜の背中を強く押しながら、1時間後には恐ろしいことになっているのだろうと考えをめぐらせる。
これから先も月夜を好きでいる限り、たくさんの不安が俺にのしかかって来るだろう。
だけど月夜なら、そんな不安も簡単に吹き飛ばしてくれる。
月夜となら、俺はどこだって行ける。
恥ずかしいから、そんなこと言えないけど。
月夜、大好きだぞ。
第四話・彼は最強王子様!?
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