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第5話(2)
月夜には毎日のように抱かれているし、たくさん好きだとも言われている。
それでも、不安なものは不安だ。
だって月夜を狙う女子は、みんなとても可愛いし、綺麗だから。
今日の今まで、月夜はチョコレートを受け取った形跡はない。
でも、もしかしたら、今回は受け取るかもしれない。
そう思うと、俺の胸がズキズキ痛む。
固唾をのんで、二人を見守る俺。
だけど、彼女は、年下の月夜にお辞儀をして立ち去った。
……よかった。
月夜は今回もチョコレートを受け取らなかった。
ほっと胸を撫で下ろすのも束の間。
「それで? 亜瑠兎 は俺を信用してくれていなかったわけだ?」
どうやら月夜は俺が木の陰に隠れていたのを知っていたらしい。
突然大きな声で呼びかけてきた。
だって仕方ないじゃないか。
月夜はものすごくモテるんだ。
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