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第5話(4)

 月夜は俺からの手作りチョコがあることを知っている。  知っていて、そんなことを言ってくるんだっ!  なんか、余裕があってムカつく!! 「月夜なんて知らないっ!」  カバンから箱を取り出し、月夜に向かって投げつける。  箱の中身は、昨日、俺が必死に料理本を見ながら作ったチョコレート。  湯せんで溶かしたり、大変だったんだぞ!?  恥ずかしいのと、俺だけ妬いているみたいで腹立つのとで、もう心の中はグチャグチャだ。  そんな俺が投げつけたチョコレートが入った箱を、月夜は見事にキャッチしやがった。  それも様になっていて、なんか、ものすごくムカつく!!  まあ、落とされたらもっとイラってするんだけどな。  顔を逸らし、そっぽを向く俺。  本当は、もっとちゃんとした甘い雰囲気の時に渡したかったのに……。  月夜のおかげですべてがぶち壊しだっ!!  頬を膨らませ、拗ねてみる。

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