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第6話(4)

『妻として』っていうのは、男の俺としてはものすごく抵抗あるけど、でも新婚ほやほやだと相手に甘えられると嬉しいってなんかのバラエティー番組で言っていたし、月夜はどう考えても甘えるっていう性格でもないし。  だったら俺の方が甘えるしかないし。  というか、月夜、真っ赤だし照れてるし。  俺、間違ってないよな。  うん、間違ってない!  俺は月夜の腕の中で自分に言い聞かせていると――。 「……あるとっ!! もう君は可愛すぎるっ!」 「えっ? つきっ、ちょっ、まっ!?」  俺の視界が突然反転したんだ。  廊下の天上が見えてびっくりする。 「待たない。誘惑してきた君が悪いっ!!」 「へっ? ちょっ、つきやっ!?」  しなやかな指の動きで、エプロンの紐が、するすると解かれていく……。  その後は……まあ、やっぱり月夜が主導権をもって、やっぱり俺は、夕食よりも先に食べられてしまうわけだけども……。 第6話・たまには、ね。完

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