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第6話

 まあ、そうなったらなったで、俺の答えは最初から決まっていたわけで。 「ハメ撮っ……こ、これが罰ゲームなんて聞いてない!」  理人さんはこれでもかと抵抗したけれど、頭の上で手首を縛りあげ、ローションまみれにした指を後ろに突っ込んだら、一気に大人しくなった。  あっという間に熱を帯びた吐息をキスで掬い上げ、理人さんの頑なな理性を揺さぶる。  空気の出口を防いだままなかを拡げると、理人さんの下半身がビクン……と跳ねた。  指を引き抜き、その手でスマートフォンを持ち上げる。  俺が無理矢理組み敷いているようでいて、手首を拘束するタオルは洗い立てでふかふかなものを選んだし、痛くないようにと解した入り口は潤滑剤のおかげでヌルヌルだ。  せっかく愛する人と〝こういうこと〟ができるのなら、お互い気持ちよくないと意味がない。  そう思うのに、スマホの画面に映し出された理人さんのあられもない姿を前にすると、股間が勝手に昂ぶってしまい、説得力がなくなってしまう。  増幅する情欲は四肢の末端にまで伝わり、震える指先がカメラのアプリを起動させた。  動画の撮影ボタンを押すと、ピコンと高い電子音を立てて作動する。  理人さんのアーモンド・アイが、ふるりと揺らめいた。  薄い唇が、僅かに開く。  その隙間から抗議の音が紡がれる前に、 「ひぁ……ッ」  ズブリと自身を埋めた。  異物を押し出そうと喘ぐ内壁に挟み込むように左右から刺激を与えられ、思わず目を瞑って堪える。  ゆっくりと引いていく快感の波を追いかけるように目蓋を押し上げると、俺の欲望はもう半分まで見えなくなっていた。  理人さんの言うとおり、やっぱり俺は変態なのかもしれない。  こうして身体を繋げる瞬間が映像になって残されているのかと思うと、滾る淫欲がどんどん勢いを増していくのが分かる。  ゆっくりと奥を目指していく俺を受け入れながら、理人さんは無言だった。  いつもなら快楽を素直に受け入れて震える喉が、完全に沈黙している。 「理人さん、我慢しないで」 「……」 「声、聞きたい」  それに、動画に収めておきたい! 「理人さん、お願い」 「……」 「名前、呼んで?」 「や……っだ!」 「しょうがないなあ……」 「……ッ!」 「これなら……」 「ふ……っ」 「どうですか……?」 「……っ」 「理人さん?」 「……」 「……」 「……」  そこからは、もうほとんど意地の張り合いだった。  俺は啼かないホトトギスをなんとか啼かせたくて、ありとあらゆる角度と深度でなかを攻める。  対するホトトギスは、強固すぎる決意と理性を盾に、真っ向勝負を挑んできた。  啼いて?  啼くもんか。  啼けよ。  啼くかよ。  堕ちろ!  堕ちてたまるか!  啼かせてみせる――その思いだけで腰を振り続け、いつの間にか動画の撮影時間は十分を超えていた。

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