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天国は地獄(前) 延長戦※R-18

「そういや榛名と管野ってもう致したの?」 「まだB。」 「おおっ、さすがにあのお子様は嫌がる?」 「ウブだもんね~、管野は。」 ババ抜きついでの雑談の声量はどんどん落ちる一方だ。中学でクラスが一緒になった事がある本田はこういう話が好きだろうと思っていたけど、西川も普通に乗ってくるのは意外だった。女が絡んでない上、友達の話でもお構いなしのようで。 けど俺もこういうの嫌いじゃ無いしなあ。クラスじゃ殆ど下ネタ振ってもらえない事もあって。 「やっぱ処女は男でもイテーのかな。」 「本田、そういうの得意でしょ~?」 「けど今カノはすげー痛がって、未遂が続いて大変だったのよ・・・。」 あの時は自信無くしたね、と嘆きながらも本田は、上ーがりっと、手持ちの二枚を俺たちの中央に投げた。これで西川対俺である。西川が俺の手札を引きまだ勝負は付かず、本田は笑いながらまた下ネタを振ってきたけれど。 「なぁ、榛名は処女の方が好き?」 「まさか。やり辛いもん。」 「うっわ~、榛名ってば外道。」 「愛が無きゃ無茶でしょ、そんなもの。」 そこまでプラトニックさが勝つ恋を俺はした事が無いし、未使用って云うのは魅力を感じるけど面倒くささの方が勝つでしょ、そういうの。同年代でしかも男同士なら、例え自分がそういうタイプじゃなくても考える事くらい分かりそうなものだけど、何故だか本田と西川は目を見合わせて笑っただけだった。 「うわっ、ずるい仲間外れ!榛名、俺が取る!!」 その時、うるさいのが戻ってきてしまった。お目当てのホットレモンティーと菓子パンをゲット出来たようで元々高いテンションを更に上げてご機嫌そうに、後ろから俺の手札を覗き込み俺の両肩に両手を置き、のしっと体重まで掛けて、円はぴょこぴょこ俺の後ろで跳ねた。 「なんで。やだよ。」 「ケチ!!」 円の声は高いから、耳元で出されると高確率でキーンとする。俺は俺の真横に来ている円の顔面を見もせずにべしっと手で叩いた。それは軽くだったのに、顔!!顔は有り得ない!!!って更に喚かれる羽目になった。それを無視して円が取ろうとしたカードとは真逆を俺が引き、ビリは免れたけど、後ろがうるさい。とてもうるさい。 クラスメイトは円の大声に慣れたものでこれくらいじゃ反応しないみたいだけれど、本当うるさくて面倒くさい奴だと思う。こういう時、円が俺と同じクラスじゃなくて良かったと心から思えるくらいには。 「ほら。円も叩いていいから黙って。」 「なんで俺も榛名の顔叩かなきゃいけないの!?!」 俺が顔を向けると、もー!!!と一人で更に怒って、べしっと頭をはたかれた。頭はセーフゾーンだけど、顔は俺もアウトらしい。怒りながらも一緒に購買から戻ってきて先に腰掛けた見沢の足の間に座って、相変わらずである。 見沢が、円、そっちに渡そうか?って目と手で示してきたけど、いや、邪魔なだけだしそれで機嫌が戻る訳でも無いので、頼まれたって要らない。 しかも、うわ、なんで弁当より先にキャラメルプリンパン食べ始めるんだ、円。信じられない味覚だと思ったけど、口にしたらこれ以上うるさくなるだろうから云わない。 そして怒った表情でパンを食べながら机の上にはお弁当を広げ始めたので、俺は円からある意味目が離せなくなってしまった。 「管野、榛名が管野のこと愛してるって~。」 「榛名はそんなこと云わない!!!」 「え?さっき云ってたけど。」 「嘘ぉ・・・・。」 もきゅもきゅパンを食べながら、円は疑いの眼差しでこっちを見た。いや、別に俺そんな事云ってないし、嘘だってば。また怒るだろうなと思いながらもそう伝えようと思ったけれど、・・・あれ?もしかしてさっきの戯言をそう取られたか。あの笑いはそういう意味だったか。 二人ともからかう対象が円だけじゃ足りず、俺の揚げ足も取りたかったらしい。ううん、本田も西川もクセがある。 「それ、ただの矛盾だから円は気にしないで。」 「ほらぁ、榛名の嘘吐き!!」 「別に嘘吐く気は無かったんだけど。」 「結果的に嘘!!!」 西川はフォローのつもりで口にしたのかも知れないけれど、結局更に円を怒らせる羽目になって、ああもう。ただ、あはは~って笑うだけの西川を俺はムカつく奴リストに加えておき、円を黙らせるため円の耳元に、有効な3つの言葉のうちの一つを流し込んだ。 ほら、それで瞬間的に大人しくなる。『ちゃんと一番好きです』、そう云うだけで満足そうな表情すらする円の事を、俺はやっぱり単純で安い彼氏だと思っている。 にしても、円は簡単に抑えられても、後ろの見沢にも俺が云った言葉は聞こえてたらしく、関係無いのに照れた顔して俺から目を逸らすし、本田は、なに?なんて云ったの?と食事そっちのけで乗り気である。 やっぱりこのメンバーである程度の時間を一緒に過ごすのは無茶だなって思いながら、俺もおにぎりのパッケージをぴりぴり破いた。多少、まだ居心地が悪くても自分のクラスで昼飯食べた方がマシだったかも知れない。 俺は他人に振り回されるのが嫌いである。円相手なら慣れてきてしまったけれど、まだ勿論イラつきはするし、自分の方が優位に立って楽したい。 まあ、あんな言葉一つで落ち着かれるのは円をちょっと攻略した気になって気分も良いけれど。こっちは鮭おにぎり食べ始めたのに、一口あげるって食べかけのパン差し出されるのは噛み合わせが悪いと云ってやりたいけど、あんまりに悪意無さそうな顔して可愛く笑ってのけたから、円はやっぱり面倒くさい。 「ね、榛名おいしい?」 「・・・甘いね。」 「俺はおいしいかって訊いたの!」 「まあまあ。」 「なんでなんで!?」 「お前らほんと、毎日毎日飽きないね。」 「ほらマドカ。食事中はいい加減落ち着け。」 見沢にパン取り上げられてレモンティー渡されて頭撫でられると、円は不満そうだけど大人しくはなった。いいなあ、俺もああいう手を使えるようになりたい。いちいち甘ったるい言葉を云わされなくて済む攻略法。 幾ら結果として俺が優位に立てた気がしても、云い慣れてない言葉は口にするのを躊躇うし、言霊って言葉もあるくらいだ。俺ももっと簡単に円と付き合いたい。 「ねぇ、榛名的に管野が見沢といちゃいちゃしてるのはいいの~?」 「うるさい。」 もう西川には素の方で接する事にしよう。云わないけれど、俺は勝てる気がしない勝負はしない。労力が勿体無いし、そもそも別にあんなので心が揺さぶられない。だって見沢と円って世話焼きお父さんとファザコンのちびっ子にしか見えないし、下心も全く見えない。ただ誰が相手でも別に相手が居なくても、甘やかされてる円を見てると、俺が軽くイラッとするだけだ。 それでも別れる気がしないのは、こういうのが惚れた弱みなのかと思わなくも無い。 あとまだ、事に及んでないからっていうのもある。男同士でもそういうのって、やっぱり面倒なんだなって思ってしまったので。 「榛名、これ面白い。」 「続き持って帰っていいよ。」 「んー。重いからいい。読む!」 週末、家族が留守の家に名目"恋人"がやって来るなんて、本来なら据え膳の筈である。けれどキャラメル食べながら人のベッドの上に寝転び、幼児くらいの大きさのクマのぬいぐるみと一緒にマンガ読んで寛がれていると、うちは漫喫じゃないんだけどと思うだけだ。 ちょっとクセもあってふわふわの髪を輪ゴムで適当に結んでも、モチモチのほっぺた引っ張っても、円は姉貴のマンガに夢中で文句云わないしで、こっちはかなり暇だし。まあ、うるさいよりマシか。 俺も携帯ゲーム機に手を伸ばして、ソフトをまとめて入れてる箱の中に手を突っ込み、適当なのを選んで電源を入れた。 しかしこれは、いまいち食指が動かないと云う俺の問題かも知れない。 毎日のように顔を合わせ、性格も言動も少しずつ分かってきては日々呆れているのだけれど、それでも円の外見は可愛いと思う。うちの学校の男共があの言動を知っていても、円を許したり好いたりしているのは分かるくらいに。頭からつま先まで、浮かべる表情パターンすらも、円は学校の外に出たってその辺の女より可愛いから。 円だって容姿の所為で苦労した事もイライラしたりする事もあるのだろうけれど、それよりも断然、嬉しかった事の方が多いんだろうなあと思う。ワガママだけど性格が曲がってはいないし、馬鹿正直だし。嫌いな所があっても、好感持てる部分の方が、まぁ、勝ってるし。 泣かせるだけ泣かせたら、二週間振り回され続けた俺の気は済んだ。 好きだと云わせているので、よっぱど酷いやり方しなきゃ問題も無い。こちらとしても別に、初めての男の身体だろうと普通に見れるし、触れたし、女の柔らかさに執着していないしで問題は無い。ただ、萎える状況じゃなければ、だ。 「わっ、新記録~。」 円に、ぎゅう、と後ろから圧しかかられた。漫画にもう飽きたらしく、構ってオーラを出しながらじゃれてくる所は本当勝手だなあって思うけれど、すごい、すごい!って云ってるのは本心っぽいのでまあいいか。 円はゲームが割と下手だからな。カートとかテニスとか落ちゲーとか家族向けのタイトルは出来るけど、このゾンビ撃つヤツのアーケード版を一緒にやってみたら敵を恐がって逃げ回るしで、フォローが大変だった。でもその様を横目で眺めていると面白かった。音ゲーも流れる画面の早さに惑ってる円を見ている方が正直楽しい。クレーンは一人でしかやりようが無いので、円はいっつも横でうるさく見ているだけだ。 ううん、改めて考えてみると俺のゲーセン遊びって結構円に侵食されてるもんだな。けど褒めたくせに、俺がゾンビの顔を押してコンティニュー示すと、円は画面を手で覆った。指紋が付くのでぱしっとすぐにその手を払うと、円はすぐに大きい声を出した。 「俺!俺一番にしてくれないなんて、榛名ってば鈍感!」 「ったく本当、勝手だよね・・・・。」 「なに?榛名だって云わなきゃ分かんないくせに!」 いや、俺は分かるよ。円よりお子様じゃ無いし。そんな事云われながらやたらと強く、ぎゅーって腕に抱きつかれても、別にクセになってる口調が目立ってるだけでそんなに怒ってる訳じゃ無いんだなって察しも付くし。 円は俺を一番にしないくせに、平気で自分を一番にして欲しがる。それを告げられる馬鹿正直さは嫌いじゃないけれど、まあ、モヤッとする部分はあるのだ。俺にくっついたまま、珍しく黙った円のほっぺたをうにーっと引っ張るけど、これはご自慢のお顔に対する雑な扱いだと思ってないみたいだし。 むしろそれまでムッとしてたくせに、これでふわって笑う。何だかんだで自分が一番大事にされるだろうっていう自信から来る表情だろうか、これ。円はすぐ思ってる事口にするのと同様、自分が魅力的に見える表情を計算してなさそうにすぐしちゃうのが恐ろしい。思わず指をほっぺたから離してしまうくらいには。 円は誰の前でも怒るし、他人にだろうと平気で全力の笑顔を向ける。 別に彼氏の俺特別仕様なんかじゃなく、こう笑えば落とせるって、誰に対しても確信したような角度で、どうしようもなく魅力的な表情で、たまに笑うのだ。 加えて、ちょっと不思議そうな表情に上目遣いして、人に抱きついたまま首をちょっとだけ傾けて、キスし易そうに。 やっぱり円、キス待ち顔は普通以上に出来るんだよな。けれど手はもう添えるだけ、嫌がらせがてら舌入れちゃうと途端、やっぱりバシバシ叩いてきた。口を閉じたり舌噛まれたりしても構わずディープなのをかましてたら、開放してあげた時にはもう涙目で、文句云おうとだろう、開きかけた口をもう一度塞いで、子供用キスを落とした。 「っ・・・ん・・、」 円は最初にかましたのが悪かったのか、ディープなのが嫌いだ。舌触れるのも嫌らしく、唾液飲むのも気持ち悪いって云うし、息継ぎ教えても一向に覚えないし、呼吸するのも俺まで苦しくなるくらいに下手だ。けどただ触れるのは好きらしい。 俺はこっちの方があんまり好きじゃないんだけどなと思いながら、ご機嫌戻す為に何度か落として、唇離すと両脇から背中の方に円の手が回った。 「っ、えへへ。」 濡れたままの口元綻ばせて、これだけで随分嬉しそうに笑う。まあ照れた色のある笑顔は珍しく円を控えめに見せるし、あんまりしない顔だからムラっとするよな。 もう何だかんだで一ヶ月は付き合ってる訳ですよ、こんなめんどくさいのと。女の子相手ならもうちょっと段階踏まないと駄目だろうけど、円相手なら「好き」と「大事」と「可愛い」の三つの言葉で良い所までは落とせるし。抱きしめるだけでもうご機嫌戻ったらしく、えらく笑うし。 そもそも俺は欲求不満だったけど、女の子相手にこまかい手順踏むのが面倒で、俺は円を選んだのだ。これが当初の目的通りである。 「・・・円、一番好きだから触っていい?」 「俺、可愛い?」 「うん。一番可愛い。」 「許す!」 こういう時に、えっへん!触らせてあげます!って表情して堂々とするのは面白い。これから俺がどういう事しようとしてるかよく分かってなくて、貞操の危機なんて微塵も感じてない顔だ。円をベッドの方に戻しても抵抗一つしない。 とりあえず重ね着めくって、一番下に手を押し込んで。もぞもぞ動く円の肌をまさぐった。 「手、冷たい・・・。」 「すぐ慣れるって。」 円がもぞもぞと伸ばした手も俺のセーターとシャツの下に、触られると確かに冷たい。俺でも鳥肌が立つくらいだ。触られると余計実感するけど、そもそも男の上半身って触られた所で大して恥ずかしくも無いし、感じるのかも謎だなと思いながら、素肌に口付けていってみる。 「は、榛名、くすぐったい・・・!!」 やっぱりくすぐったさという点に置いてのみ逃げてる腰を掴んで、舌で触れて。 ううん、円は全体的に触り心地が良いんだよな。別に特別手入れしてる訳じゃないだろうに、すべすべだし。全体的に小さいけど、特別細い訳じゃないから抱き心地は悪くないし。 「ひゃっ・・・、ふっ・・わー・・・!」 そう堪えた声を漏らしては、ひーって笑う円は本当お子様でしか無いけれど、このくらいなら許す。俺は膨らみの無い、物足りなさは少しある胸元に到達した所で顔を離して、さっさと円を押し倒した。 そう、この辺りまでは楽なのだ。円はただこの手の触れ合いをくすぐったがるだけで、抵抗と云った抵抗をしない。 けれど初めて押し倒した時は、円のベッド周りがぬいぐるみだらけでファンシーさに萎えた。次はえらいくすぐったがられて、くしゃみされて顔面にまで鼻水付けられた。さあ今回は何が来るのかと思ったけど何も無く、ただ円がまだ半分笑ったままの顔で俺の胸を押しただけだった。 「おわ、終わり?」 「残念でした。くま吉あげる。好きだからもうちょっとやらせてね。」 「んん、」 円が持ち込んだお気に入りのクマのぬいぐるみが近くにあったので抱かせて、唇に一回キスを落とした。ベルト外して、緩めのズボンも脱がして。もぞもぞと動く足を開かせて、俺は円の足の間に納まった。 内股触ってみて、唇でも触れてみる。また円はビクッとしたけど、明確な抵抗は無い。寒い寒いってえらい喚かれたから前回はこの辺で止めにしたんだけど、円としては彼氏って何処まで許せるんだろう。内股辺りはちょっと柔らかいなあって思いながら触れてみたり、その辺りを甘噛みしたり、舐めたり、好きにやらせてもらう。 相変わらずちょっと身体が震えてるけど、笑い声はしない。上半身よりこっちの方が分かり易くてよっぽど危ない場所だから、円的にもクるんだろうか。 「っ、ふっ・・・。」 笑った声とは思えなかったので、調子に乗って下着もずらしてみる。さすがにこの辺は口使うの抵抗があるので触るのは指でだけだけれども。 つい、とまだちょっと曖昧な形をなぞっていって、揉んでみたり、握ってみたり。そうやって直接的な事をすると、ひゃっ、ってあからさまな声が聞こえて、円の足が縮こまったけれど、少しずつ反応は示している。 「んっ・・・・っ・・、」 男ってこういうとこ単純で良いよなあ。右手をちょっと横に、握ったままのものごとずらして、左手で足開かせて太腿を舌で触ってみる。だって顔に当たるのは嫌だし。それでもなるべく円が気持ち良いように右手を動かしながら目をつむって、まだ柔らかい所に触れていると錯覚出来るくらいだなと思う。円の声は元々高めだし、身体の大きさだって女子に混じれるくらいだし。 「っん・・、んっ・・・」 しかし左手も足の付け根の方に伸ばすと、そうか、男って濡れないし、そう簡単に指も挿れられないんだったってちょっと我に返った。円もそこまで来てやっと動揺して、間を空けてから、じたばたと逃げようとした。 「っあ・・・、榛名!そこさわる場所じゃ無いっ!!」 「いや、ココに指入れて突っ込まないと、真のカップルとは云えない。」 「か、彼氏力検定?」 「うん。」 何だろそれ、って思いながらも暴れた円に蹴られないよう、俺が起き上がって適当に相槌を打つと、円は目に見えて悩み始めた。大人しくなってクマ抱いたまま、眉を寄せて。 「彼氏」って言葉でこのラインでも誤魔化せそうってほんとちょろいな、円って。ふわふわの髪に一応ティッシュで拭った右手絡ませても、ぬいぐるみに顔埋めさせて、怒りもしないし、悲しそうな顔も、恥ずかしそうな顔もして見せないし。 「・・・・・・。それ、榛名の彼氏の条件?」 「そう。一番。」 後はそんなにうるさくなくて、更にお願い出来ると云うなら駄々捏ねられなきゃそれでいい。それよりも身体の相性悪いと最悪だからな。幾ら好きでも泣かれても、その辺りが良くなかったらまた円に別れ話を切り出す気で俺はいる。 けれど、円はワガママだけど他人のワガママをどれくらい許すんだろうと今はなんか、楽しみながら。 でも拒否されたらさすがに無理矢理やる気は無いので、また手順を踏んでいかなきゃなあなんて考え始めた所で、円は困ったような表情浮かべて、顔を上げた。 「じゃあ、聞いてあげる。」 「・・・ありがと。後で撤回しても聞かないからね。」 「俺、嘘吐かないもん!」 「はいはい。」 少しだけ見せた神妙そうな顔は何処へやら、さっさと元気を取り戻した円が拗ねない内に、俺は新品のローションのボトルといつかの残りのゴムを手に取った。 高粘度だけあって出てくるのが普通のより遅いし、その間に指にゴム嵌めて、うわ、すごい伸びる。早速円に触ると、ひっと背中が仰け反った。 「あ、こら。動くんじゃない。」 「ひあ・・・・。だ、だって、うっわ・・・、わー・・・!」 触るとココもくすぐったいのかと思うような反応だ。指を押し込んでも、ひゃーひゃーとくま吉抱いて、楽しそうで何よりである。 痛かったらそりゃあ円はもう喚き散らすだろうし、好きにやりたくてもさすがに傷付けたくは無い。あと、こちらとしてもゴム越しに触ってる所為か、触ってる場所の所為か、感触が今までに経験した事無い感じで面白い。ぎゅうぎゅう圧迫感をのある指をそっと動かして、よく分からない場所を探ってみる。 「円、全然痛くなさそうだね。」 「けど、へん・・。変な感じっ・・・。」 「別に気持ち悪い訳でもない?」 「んん、へいき・・・・だけど、っ、あっ・・・?わっ・・!?」 こっちも問題を感じなかったので、指を増やして奥に進み、指をくって曲げたら円の腰が跳ねた。思わず、円の腰を空いてる方の手で押さえてしまったくらいに、よく跳ねた。 「っ、うぁ?わっ、っ・・・!?!」 「あ、ココかあ。」 「んっ・・・っあ、やっ・・・!!」 ぎゅっぎゅとさっき触った場所を重点的に攻めてみると、円がびくびく跳ね、さっきよりずっと力強く逃げようとしたので、俺は腰より確実に押さえられる円の足首を思いきり掴んだ。 多分、俺と円の力は普段のやり取りから感じるにそんなに変わらないと思うのだけれど、キスとかこういう事仕掛けてる時って慣れてない円の方が圧倒的に不利になる。まあ油断すると加減知らずの蹴りが入るだろうから、こっちも気合入れなきゃだけども。 「やっ!そこ、やだっ、ぁ・・・!!」 「気持ち良いならイっていいよ。けど力は抜いて。」 「やだ、っ・・・、榛名放しっ、・・んっ・・・、やっ・・!」 んなこと喚きながらも指をうにうに動かすと途端に喘ぎ出すの、面白い。ピストン送ると気持ち良さそうな顔して、さすがに暴れる力も落ちてきて。やっぱりうるさくしてないと円は可愛いんだなと実感した。喘ぎ声も、俯いて恥ずかしがって泣きそうな顔も全然不快じゃない。 同じ男相手にして、中々こうは思えないと思う。ゆるゆる勃ち上がって震えてるモノの方も出来るだけ気持ち良くしてやるかって、もう片方の手まで円のに指を伸ばすような気には。 「やぁっ・・・あっ・・、ふあっ・・・、」 「円もちゃんと、可愛い声出るんだね。」 「っ、おれ、いつでもっ、んっ・・・可愛い、っ、もん!」 「それは大した自信。」 「あっ・・・っんっ!やぁっ・・・!!」 円のを握って刺激与え始めてからそんなに経たずして、円がぎゅうと目をつむって、すごい中がビクビク締まった。指を抜いて、べとついた手もティッシュを引き寄せてから顔を覗き込むと、円はまだはあはあ荒い息を吐いていた。頬を真っ赤にして、クマぎゅうっとしたまま、汚れた内股をもじもじさせて。 「ばっ・・、榛名のっ、ばか・・・!!!」 「アハハ、随分早かったね。」 「しつっ、しつこかったもん!!!」 「うん。けど気持ち良かったでしょ。」 「っ、よく、分かんない・・・!!」 俺も自分と同じモノをただ触ってイかせるよりこっちの方が楽しかった。シーツ汚される前にべとべとになった部分を拭ってやり、クマを手放し、悔しそうな顔した円に両手を伸ばされたので、しょうがないから抱きしめてみる。まあいいか、この体勢でも。 円に抱きつかれたまま、指をもう一度、出来るだけ奥へと挿し込んで、中を、ぐり、とかき回した。 「もう、やっ・・・、指やだあ、」 「いや、もうちょっと拡げないと。ほら、なるべくずらすから。」 「っ、榛名、楽しそう・・・・。」 「実際楽しいよ。」 自分は気持ち良くなってなくても、感じてる恋人目の前にするといつだって、征服欲と優越感あるもん。けれどそんな事云う必要も無いから、俺はただ泣き出しそうな円の口を塞いだ。 とろとろしてきた表情を眺めながら、宥めるようにキスを落とした。 「おれっ、俺は恐いもん・・・、んっ・・、」 「円、これからが本番だから。今みたいに大人しく、可愛くしてて。」 「んっ、ふあ・・・。」 返事は無いけど俺の腕の中の円はいつもより大人しいし、思っていたより上手くいってるし。気持ち良くなれる場所は外しても、中はだいぶ指拡げたり出来るようになってきたし。 「ひあっ・・・あっ・・・、」 ちょっと腰押し付けてみても驚いて引く様子も無い。こうなっちゃえば円でもただ可愛いものだ。もういいか。指を抜いて嵌めてたゴムをひっくり返して外して、枕を円の腰の下に押し込んで浮かして、セーターを脱ぐ。ただ遊んでただけのこっちも暑いけど、全部脱ぐと円が恐がるかも知れないし、そこまで落ち着く余裕あげたくないので、後はベルト外すだけでいい。 しかしローション増やしがてら自分のを確認してみると、案外興奮しているものだ。俺は自分で触るのがあんまり好きじゃないので好都合としておこう。なんか負けた気するのは無視して。 「はる、榛名ぁ・・・・。」 名前を呼んだくせに、身体に俺の手が触れるとびくってする、泣きそうな円の方が俺よりぐずぐずだし。もうくすぐったい所じゃないらしい。こういう時、自分が押し倒してる人間が可愛く見えるのは間違いじゃない。相手が男だろうと女だろうと、普通なら絶対見る事が出来ない表情とか見せられたら情が更に湧いちゃう事だって、分かってたのに。 「円はさっき気持ち良くなったでしょ。今度は俺の事、気持ち良くして?」 「んっ・・・、」 円の両足も少し持ち上げて浮かせて、いやいやみたいに首を振ったのを無視して、軽く扱いただけなのにすぐ硬くなる自分を宛てて、さっさと先っぽを押し込んでいった。

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