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第15話(カイト)
「ゔーー」
スマホと名刺を見ながら教室で唸る。
「カイト?下痢?」
俺の唯一の友達、チャイだ。
「違う!」
「じゃあ、どうした?え!?おい、コレ本物か!?トム•コーヴィンって書いてあるぞ!?」
「チャイ!!し〜!静かに!」
彼はタイ人のチャイ。チャイは本名じゃなくニックネーム。
タイ語でいうところのチューレン=ニックネームだ。
チャイの本名は3回ぐらい聞いたけど、もう長過ぎて覚えるのを諦めている。
語学学校のカタコト英語仲間。
クラスには他にも日本人は居るけど、チャイが日本語を少し話せた事で1番仲良くなった。
「トム•コーヴィンの名刺なんてどこで手に入れたんだよ?!しかも、裏に書いてあるのプライベートナンバーだろ?!ヤバイ!!」
「3日前ぐらいに、たまたま知り合っただけ!名刺は貰ったけど別に連絡するような用事は無いし、、、」
最初は変態ロリコンオヤジだと思ったけど、トム•コーヴィンとのディナーは楽しかった。
彼はテレビに出ていた時と同じで、捻くれた性格だし偉そうで自尊心の強いタイプだけど、ユーモアがあって面白い人だ。
俺も口が悪いし、彼とは直球で話せて楽だった。
「また会いたいと思っているなら電話すべきだよ!」
チャイに言われて、決心した。
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