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第16話(トム)

ピピピ スマホの着信音だ。 「ボス、携帯鳴ってますよ?出ないんですか?」 登録していない番号だ。 もしかしたらカイトかもしれない。 待ちに待った連絡だ。 携帯番号を渡してからもう3日も経っている。 こんなに待たされたのに、すぐに電話を取るなんて、まるで待ちわびていたみたいでシャクだ。 待ちわびてたんだがね。 「ボス?」 「ウィル、分かってる」 ピッ 「もしもし」 「トム、私、アナよ」 カイトじゃないのか。アナって誰だっけ? 「やあ、アナ!ちょっと取り込み中なんだ、また今度連絡してくれ!」 ピピピ  電話を切った直後にまた着信音だ。 「アナ、取り込み中だと言っただろう?」 少し苛立ちながら電話に出た。 「え?アナって誰??あ、ごめん、取り込み中に。じゃあ切る」 「カイト、待ってくれ切らないで!」 タイミング最悪だ。 「すまない、人違いだった。連絡ありがとう」 「ごめん、忙しい人なのに。別に用事も無いし」 「僕にはある!今どこ?ランチへ行こう!ちょうど12:00まわったばかりだ」 「え?今?学校に居るんだけど」 「じゃあ拾うから、30分後に学校の前で」 「え?」 返事を聞く前に電話を切る。 ウィルの運転するベンツのハイヤーから愛車に乗り換えるとアクセルをふかした。

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