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第19話(カイト)
急にランチに誘われて断れなかった。
なんか強引なんだよ、いつも。
「トム•コーヴィンとランチ!羨ましい〜」
チャイはすっかり彼のファンだ。
「断る隙が無かっただけだよ」
学校の前で待っていると、派手なエンジン音に赤のド派手なベンツのスポーツカーSLS AMG GT ファイナルエディションが登場した。
「嘘だろ」
ドアが羽みたいに開くやつだ。
「やあ、カイト!早く乗って!」
ランチタイムの学生達が一斉に歓声を上げ人垣が出来始める。
『あれトム•コーヴィンじゃない?!すっげー!』
周りは大騒ぎだ。
慌ててカイトは助手席に乗り込んだ。
「あんた、マジで目立ち過ぎ!何なんだよこの車」
「目立つのは嫌い?」
「嫌い」
「僕は好きだ」
「でしょうね」
車内の内装も豪華だし色々な機械が付いていて、カイトにはもうロボットにしか見えない。
「今日のランチは?何か食べたい物は」
「任せる」
「じゃあ、ハニー、近くでオススメのランチは?」
【こんにちは、トム様、近くのランチを検索。あなたの好みと最近の食事メニューから最適のお店を検索中です】
「車が喋るの?!」
「AIだよ。僕専用のハニーだ」
【レストラン島野がランチを営業しています】
「和食か、いいね!カイトは和食で良い?」
「うん」
【個室を予約しておきました。ルートを表示します】
「サンキューハニー」
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