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第20話(トム)
「君の事がもっと知りたい」
「俺みたいな普通の人間に何でそんなに興味津々なんだよ?意味分かんねー」
普通?カイトこそ、特別だ。
「君は自分の事をまるで分かっていない様だ」
「俺とランチしてどうすんの?大富豪の暇つぶし?」
「僕に暇なんて一切無い。君は本当に特別なんだ」
カイトの顔は不信感を露わにしている。
まずい、変質者と思われたか?
日本語で確か、、、若く幼い子に性的な魅力を感じる事を、、、ロリコン?
確かにカイトは目つきが鋭く、ぶっきら棒だが、思っている事を素直に言える子だし、どちらかと言えばアジアンビューティといえる小綺麗な顔立ちをしている。
「僕は決してロリコンではない!君との会話がとても楽しい。それだけだ」
「まあ、俺もあんたと話すのは楽だから良いけど」
カイトと会う為なら、会議の一つや二つ、商談の一つや二つキャンセルしたって構わない。
「カイト、僕と契約しないかい?」
「契約?」
「そう、君は週3回僕と食事するだけ。報酬は支払うからアルバイトだと思ってくれたらいい」
「、、、断る」
「金はいくらだって支払う」
「俺は金が欲しくてあんたと会った訳じゃない。あんたと話してみて、楽しかったから。俺の事、何だと思ってる訳?
もう帰る」
心が読め無い。
カイトを怒らせてしまった。
「カイト、怒らせたのなら謝るよ。僕は本当に君とどうしても会いたいんだ」
「だったら契約なんかしないでよ。俺に会いたいなら、素直にそう言えよ」
「君に会いたい。君は特別なんだ。だからお願いだ、ただ一緒に居て欲しい」
僕は神様からギフトを貰った。
人の心が読める力だ。
ビジネスでもプライベートでも、成功は全てにおいてこの力のお陰だ。
商談や取引は、握手するだけで相手の思惑は全てお見通し。
恋愛の駆け引きなんかも簡単に見抜ける。
でもその分、人間の醜い部分を知り過ぎだ。
だから、僕にはカイトが必要なんだ。
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