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第47話(カイト)
なんなんだ、、、ここは、、、
クルーズ船のメインホールは、最上階にあるトムの部屋のツーフロア下にあった。
トム専用のエレベーターで降りると、広いホールに出た。
なんていうか、高校の体育館くらいの広さのホールで、、、よく映画とかで観るようなドレスアップした男女が踊ってるやつだよ。
もう、俺の語彙力の範疇を超えてる。
ホールの隅には立食用の料理やお酒が並べられている。
優雅な立ち振る舞いで配膳するボーイの1人がすぐにやってきた。
「コーヴィン様シャンパンはいかがですか?」
「ありがとう。彼にはソフトドリンクを」
トムはシャンパンを受け取るとご機嫌だ。
「何か食べたいものは?この船には5つのレストランに3つのバーがある。
ナイトプールにクラブ、カジノも揃っているぞ」
「そんなパリピな遊びはいいや」
「ぱりぴ????」
「ゆっくり飯食いたい」
「じゃあ、カイトは後から僕専用の部屋で2人きりで食事しよう」
「あ、、、ゔ、、、うん」
いちいち、口説かれている気がしてしまうのは俺だけか??
「先にパーティー恒例の挨拶回りをエレナと一緒に済ませるから、良い子で待ってるんだぞ。すぐに終わらせる」
頭を撫でられた。
あー、でも子供扱いされてんな、、、。
トムは近くに控えてたエレナを呼ぶとパーティー客の群れに入って行った。
俺と違ってエレナはトムのパートナーに見えた。
キレイな人だし、仕事面でも支えてる。
俺みたいなガキより、よっぽどお似合いだ。
なのに、何でこんなに俺に構ってくるんだろ?
出会い頭から今まで。
まるで口説かれているようなセリフばっかり。
勘違いしそう。
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