53 / 87

第51話(カイト)

メインホールでポツンと取り残された俺は、仕方なく周りを見渡す。 ホールの壁際には立食の食事が並んでいた。 どれも一口で食べられるよう飾り切りされた色とりどりのフルーツや、カクテルグラスに飾られた海老、美しく盛り付けられたハムやサラダ。 なんか、食べようかな、、、 そんな事を考えていると、ポンポンと肩を叩かれた。 「Hi!」 え?誰??この女の人。 「あなたミスターコーヴィンとは知り合いなのかしら?」 30代?40代?ぐらいの中東系?インド系?の深紅のドレスを着た熟女から声を掛けられた。 「知り合いです」 「どんな関係なの?」 どんな関係?それ、俺が一番聞きたい。 「あー、、、友達?」 「あら、そうなの。可愛らしいお友達ね!あなた、どこから来たのかしら?中国人?日本人?お名前は?いつからお友達なの?」 「え??」 なんか質問攻めなんですけど。 「失礼マダム、少年に何か?」 突然、後ろから声がした。 トムの運転手のウィルだ。 「あら失礼。可愛らしいゲストだったからつい声を掛けてしまっただけよ。ごめんなさいね」 謎の女性はにっこり微笑むとすぐに離れた。 「大丈夫か?あの女は誰だ?」 「知らない。急に話しかけられて」 「まあいい。今日の俺はお前のお守り役だ。何かあったら近くにいるから呼べ」 お守り役までつけられてるし。 子供扱いが過ぎる。

ともだちにシェアしよう!