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第51話(カイト)
メインホールでポツンと取り残された俺は、仕方なく周りを見渡す。
ホールの壁際には立食の食事が並んでいた。
どれも一口で食べられるよう飾り切りされた色とりどりのフルーツや、カクテルグラスに飾られた海老、美しく盛り付けられたハムやサラダ。
なんか、食べようかな、、、
そんな事を考えていると、ポンポンと肩を叩かれた。
「Hi!」
え?誰??この女の人。
「あなたミスターコーヴィンとは知り合いなのかしら?」
30代?40代?ぐらいの中東系?インド系?の深紅のドレスを着た熟女から声を掛けられた。
「知り合いです」
「どんな関係なの?」
どんな関係?それ、俺が一番聞きたい。
「あー、、、友達?」
「あら、そうなの。可愛らしいお友達ね!あなた、どこから来たのかしら?中国人?日本人?お名前は?いつからお友達なの?」
「え??」
なんか質問攻めなんですけど。
「失礼マダム、少年に何か?」
突然、後ろから声がした。
トムの運転手のウィルだ。
「あら失礼。可愛らしいゲストだったからつい声を掛けてしまっただけよ。ごめんなさいね」
謎の女性はにっこり微笑むとすぐに離れた。
「大丈夫か?あの女は誰だ?」
「知らない。急に話しかけられて」
「まあいい。今日の俺はお前のお守り役だ。何かあったら近くにいるから呼べ」
お守り役までつけられてるし。
子供扱いが過ぎる。
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