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第63話(カイト)

急に視界がパッと開けて明るくなった。 最初に目に飛び込んで来たのはトムの必死な顔だ。 顔には血が付いているし、黒く煤で汚れている。いつもキレイにセットされた色男の髪はボサボサ。 「トム?」 「カイト!」 倒れている俺を抱き抱えていたトムが、優しく笑った。 そんな顔するんだ。 「カイト。君が好きだ」 言葉を理解する前にキスされていた。 柔らかい唇とトムの顎髭がくすぐったい。 トムが俺を好き?

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