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第65話(マイク)

何だか寒い。 寒くて寒くて仕方ない。 全身が痛い。 「マイク」 誰かに呼ばれてる。 「マイク」 温かい声。多分、知ってる。 ずっとずっと前に聞いた懐かしい男の声。 「マイク」 そっと目を開くと、こめかみがズキっと痛む。 強烈な目眩に視界が歪んだ。 「マイク、大丈夫か?」 この声は。 「ブライアン?」 「海に落ちて低体温症になりかけてた」 「助けてくれたの?」 「お前は俺が守るって言っただろ?まさかいきなり電話する間も無いぐらいのピンチになるとは思ってなかったけどな。体温はもう戻ってるから安心しろ」 「ありがとう、、、え?何で裸??」 頭が痛くて痛くて気付かなかったけど、そもそもブライアンにベッドの上で抱きしめられているし2人とも裸!! 「言っただろ低体温症になりかけていたから温めたんだよ。体温で。 船から1番近いモーテルにお前を運んで温めただけだからな」 嘘だろ、裸でブライアンと同じベッドなんて、スティーブに知られたらどうするんだよ! 「ちゃんと言っとくが、まだ、何もしてねぇからな」 「まだってなんだよ、まだって」 ああ、喋るたびに頭がすごく痛い。 「そんなエロい下着穿いてるお前も悪い」 裸だけど、2人とも下着だけは穿いてた。 しかも、今日は気合い入れちゃったやつ。 「で、何かする?」 楽しそうにブライアンが笑う。 「しないよ。頭痛い」 「冗談だよ。そろそろスティーブが迎えに来るだろ。お前の通信機、さっきオンにしておいたからすぐに居場所が、、、」 ドォン!! ブライアンが全て言い終わる前にドアが勢いよく吹き飛んだ。 そこにはスティーブが居た。 「彼氏の登場だな」 この状況どうすんだよ。 俺は下着一枚でブライアンとベッドに居る、最悪のシチュエーションだ。

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