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第68話(トム)
最初から、ハワードは食えない奴だと思っていた。
「彼にはある」
ハワードがそう言いながら目配せをしたのはカイトだ。
「少年は覚醒したばかりだ。まだその電気を抑えられいないようだし。
WIAには、ネオヒューマンズを保護育成した歴史がある。彼の様に覚醒し戸惑う人々に寄り添って来た。
分かりやすく言うと能力のコントロールに必要な道具や知識を我々は持っているって事だ。
現に君は、、、えっと名前は?」
「フジサキカイト。カイトで」
「カイト、君は今の状態じゃドアノブにも触れられないし、いつまた力が暴走するか分からないだろう?」
カイトを人質に取られたようなものだ。
僕はWIAに従うしか道が無い。
「それから、コーヴィンさんあなたを狙った犯人も見当がついています」
「チャイニーズマフィア?ロシアの諜報機関?イスラム過激派?」
「いいえ、カサドールです。彼らはネオヒューマンズを狩っているハンター達です」
「ハンター?!良い加減にしてくれ。もうウンザリだ。君達の話は。僕は今まで通り普通に生活出来たらいいんだ。世界の平和でもネオヒューマンズでも好きに守ってくれ。僕やカイトには関わらないでくれ」
「あなたが関わりたく無くてもハンター達はまたやってきます。あなたやカイトがネオヒューマンズだとカサドールに知られた以上、今までの様に平穏無事に暮らせる保障は無い。
これは、あなたにもメリットのある話だ。
あなたさえ協力してくれれば、WIAがあなた達を守る事も出来る」
ハワード、本当に厄介だ。
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