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第69話(マイク)

ヤバイ。 スティーブの顔から表情が消えた。 いつもの少し下がった優しい目元も、今は無機質な人形のよう。 「スティーブ、コレは違うから」 何が違うって、説明しないと。 「早かったな。お楽しみの最中だったのに」 火に油を注ぐ様なブライアンのセリフに益々焦る。 「海でブライアンが助けてくれて、身体を温めてくれただけだから」 スティーブは無言で近づいてくる。 どうしよう、ブライアンに殴りかかる? スティーブが手を伸ばすとベッドシーツを勢いよく引き抜いて俺の体に巻きつけた。 「スティーブ」 無言のまま俺はスティーブに担ぎ上げられる。 「礼は無しかよ?」 ブライアンが言うとスティーブはゆっくり振り返った。 「僕は今、怒りを抑えられるか分からない。ブライアン、君とは今度ちゃんと話をつけよう」

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