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第73話(マイク)

「マイク、少し冷静になりたい」 スティーブは俺の目を見ずに、真っ直ぐに前を見て一言呟いた。 スティーブが俺に初めて壁を作った。 「わかった」 これ以上、話しかけられない雰囲気だった。 きっとスティーブは必死に俺を海で探してくれたんだと思う。 スティーブの髪はまだ、海水が滴るほど濡れていた。 スティーブは俺をいつも愛してくれる。大切にしてくれる。 俺を愛しているから、、、 だからスティーブは苦しんでしまう。 自分を責めてしまう。 エージェント•ハワードが言うように。 俺を愛してる。 俺が思うよりもずっと。 俺はどんな決断をするべきなんだろう? ぐるぐると思考がループする。 いや、頭が?いや、視界が? ぐるぐる回ってる?! 「マイク?!」 スティーブに抱き止められた。 どうやら目が回ってるみたいだ。 なんだかやっぱり寒い。

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