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第74話(スティーブ)

マイクは突然ふらりと座ったまま倒れかかって来た。 「マイク?!」 息が上がっているし、頬が紅潮している。 額に触れるとすぐに高熱を出しているとわかった。 「大丈夫か?!マイク、もうすぐニューヨーク支部に着くから頑張るんだ」 マイクを抱きしめる。 マイクは小さく震えていた。 このままじゃダメだ。 僕は、マイクと人生を供に生きたい。 このままじゃ本当に僕達はダメになる。 それに、また同じようにマイクの命とその他大勢の命を天秤にかけるような事態が起きないとも限らない。 僕はどうするべきか。 マイクも、そして他の罪なき人々の命も守りたいなんて我が儘なのか? 不可能なのか? それが僕の甘さ? 「着きました」 カウムセット州立公園東にあるパーク内の工事中道路を数百メートル進むと納屋が3棟並んでいる。1番左手の納屋が自動的に開くと車は中で停車する。 納屋の床が左右にゆっくり開くと車はエレベーターのように地下へ潜った。 駐車場へ着くとすぐにマイクを担ぎ、医務室のある地下8階までエレベーターで降りた。 「エージェント•ワイルド!彼は?」 医務室には医学博士のライリー博士がいた。彼なら安心だ。腕の良い医者だ。 「マイケル•バーンズ。僕のパートナーだ。海に落ちて低体温症になり掛けた。今は高熱が出ているんだ」 「診察します。あなたは下がって」 「分かった。スイーツ博士、マイクを頼む」 「大丈夫です」

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