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第15話 濡れない身体
足のマッサージがとても気持ち良かったんだ。
大きな手に足を鷲掴みにされて揉まれて、普段自分でも意識したことのないような指と指の間に、先輩の骨っぽい指が割り込んで、押し開くようにされると、触れているのは足の先なのに、身体の奥がジンって火照った。
「あっ……」
足の指が感じる場所だなんて、知らなかった。
「はぁっ……ぁ、ン、せんぱっ、ィ」
恥ずかしくてたまらないのに。
足をマッサージしてもらって感じてしまうなんて、みっともないと思うのに。その手がふくらはぎを揉んで、膝を掴むと、期待した。
そのまま脚を開いて欲しいって。
「あ、先輩っ」
熱が上がる。身体の奥で暴れ出しそうになる。このまま開いて。
「せんぱ、……ン、んんっ」
貫かれたいって。
「ン、あっ……ふ、ぁっ……」
ソファに埋もれるようになりながらキスをした。
大きな一人がけのソファの背もたれにたっぷり寄りかかって、舌を出してキスを欲しがる俺に、先輩が上から覆い被さるように舌を差し込んでくれる。
「ん、くっ……ン」
まるで餌をねだる雛鳥みたいに首を伸ばして、口を開いて、柔らかく濡れた舌にしゃぶりついた。
脚をとてもはしたなく開きながら。
「あっ、あっ……ぁ、せんぱ、ぁ、手っ」
開いたまま、ただのマッサージに感じて、反応していたそれを握られ扱かれながら。
「あ、ふっ……ん、ンっ……んんんんんっ」
つぷりと挿入された指にきゅぅぅって腹の底が切なくなる。キスをしたまま、指が孔を開いて、入ってきて、中をまさぐると、溶けてしまいそうなほどたまらなく気持ち良かった。
「ン、んっ」
「中……」
「あ、さっきシャワー浴びた時、ローション、で濡らした、から」
だって男の俺は濡れない。
「あっ……ん、せんぱっ、あっ!」
首筋にきつめのキスをされて背中が仰け反った。
はしたなかった? でも、気持ちいいのをもっとして欲しかったから。濡れない身体を予め濡らしておいたんだ。
「先輩?」
「今の、想像したら興奮する」
「あっ」
興奮してくれた? 俺がシャワールームでローションを塗るところに?
「ミキ」
「あっ」
名前を呼ばれたら、素直に孔が先輩の指にしゃぶりついた。その指は快感を覚えたばかりの内側を撫でて、二本の指で広げて音を響かせる。くちゅくちゅ、くちゅって甘い蜜を指でもてあそぶ音。
「あぁぁぁぁっ」
柔らかくされる音。身体の内側が快楽に濡れていく音。
「ミキ」
「ぁ、先輩、ここ、も……」
その音に蕩けたんだ。理性とか羞恥とか、そういうのが蕩けて、溶けて消えてしまった。
「ここ、指じゃないので、気持ち良く、してください」
「……」
「先輩の、挿れて……」
自分から脚を抱えて、孔に挿れてとねだった。ソファなんて場所で。同じくバスローブだけを身にまとった先輩が前をくつろげて、そそり勃つペニスを取り出したことに喉を鳴らす。その硬いのに貫かれたいと、もっとしっかり足を抱えたら。
「あぁぁっ!」
ずぶりと先輩のペニスが身体を抉じ開けた。
興奮を何度も飲み下す喉を仰け反らせて、広いホテルの一室にある一人がけのソファに二人して沈み込んでセックスをしてる。広いベッドじゃなくて、二人で窮屈なソファで。
「挿れただけで、イくとか」
「あ、あっ、待って、先輩、今、俺」
「お前、エロいよ」
射精した白を胸元まで飛ばしてた。
「あ、っン」
それを先輩が乳首に塗りつけながら、腰を動かすとたまらなく気持ち良くて、またイってしまいそう。
「や、だっ、待って」
貫かれた身体がきゅぅぅって切なげに先輩にわけもなくしがみ付く。今、射精したばかりで中だけじゃない身体がとても敏感で一突きされただけで切なげに中が先輩に絡みつく。
「あぁぁっ」
「ミキ」
「あ、あ、あ」
その狭い中をゆっくり深く、上から覆い被さった先輩が貫いて抉じ開けて、また引いてから、深く射抜く。
「あぁぁっン」
深くまで先輩でいっぱいになると鼻にかかった甘い溜め息が自然と口から零れ落ちた。射精したばかりなのに萎えることなく濡れて跳ねるペニスからも雫を腹の上に零れ落としながら。
自分から腰を揺らして、先輩ので中のいいところを擦り付けるくらい。
「ミキ」
「あっ」
「気持ち良さそうな顔」
「ぁ、だって」
「リクエストどおり激しくするから。ちゃんと掴まって」
だって気持ちイイ。
「あぁぁっ」
言いたかったのに、深く激しく貫かれて言葉の代わりに唇からは甘ったるい悲鳴が零れた。
「あ、あ、あっ」
激しくされる度に身体がソファからズレて、繋がった先輩のペニスを咥え込んだそこが丸見えだった。
あんな太いのが入ってるなんて。
あんなに激しくされてるなんて。
「あぁあっ、先輩、も、俺っ、また」
「っ」
こんなにズブズブにされて。
こんなに先走りも溢れさせて。
「も、イくっ」
「ミキ」
「あ、あ、あ、あ、イクっ、先輩」
気持ちイイ?
「あ、ンっ」
先輩も気持ちイイ?
「あ、もっと奥まで、ぁっ、ンっ……くださいっ、お願」
「ミ、キっ」
低く、囁くように甘い声だった。
けれど表情は険しくて、俺に覆い被さる先輩の呼吸はとても乱れてて、突き立てられたペニスは快楽を貪るように激しく奥まで何度も、何度も――。
「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁっ」
俺の中で暴れて、それがたまらなく、気持ち良かった。
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