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第19話 個室レッスン

「俺が反応してるって、嬉しそうにするなよ」 「あっ……」  だって、嬉しいでしょう? 先輩が俺に股間硬くさせてくれるなんて。 「もう何度もセックスしてんのに」 「ああっ!」  だって、先輩はゲイじゃないから、男の俺に反応してもらえたら嬉しいでしょう?  言いながら、今度は先輩に股間を撫でられて、ゾクゾクって興奮が勢いよく背中を駆け抜けた。 「あっ、先輩っ」 「えらいね。酔っててもちゃんとここ勃起させて」 「あっ」  大きな手にスラックス越しに形をなぞられて、褒められて、嬉しくなって身体がまた反応する。もう何度も抱いてもらっている身体が嬉しそうに腹の底をキュンキュンとさせる。  だって、あの白岡先輩にそんなことを言ってもらえるなんて。 「あっ」  シャツを捲られて、ジャケットもネクタイもしたまま、シャツだけを乱した格好で、乳首をトイレの個室で抓られ、甘い悲鳴を上げてしまう。 「んっ」  声を我慢しようと思って堪えると、余計に気持ちいい。 「あっ」  摘まれて、何度も可愛がられて、この指がくれる快感を覚えた乳首がキュッと硬く反応してしまう。もっとかまって欲しいってねだるように硬くなっていく。 「はぁっ」  それをまた捏ねるように摘まれて、クラクラするほど気持ち良い。もっと欲しくなる。  おねだりの仕方を、教えてくれるって言ってた。だから、きっとたくさんおねだりしたって構わないでしょう? 「あ、先輩」  もっと触ってくださいと口にしようとした時だった。 「ふふふ、ふーん」  いきなり陽気な鼻歌が飛び越んできて飛び上がった。 「はぁ……」  誰かがトイレに入ってきて、鼻歌混じりに溜め息を零してる。すぐそこのトイレ。  この店、トイレが狭いんだ。個室が二つあるくらいの小さなトイレ。布擦れの音だって聞かれてしまうような密室。ホテルみたいにたっぷりとスペースを取っていない窮屈なトイレ。だから身体が自然と密着してしまうほどに狭く、熱が篭る。どうしたってくっついてしまう身体が火照って、興奮してしまう。  だって、先輩の硬いのが当たって。 「っン」  ゾクリと感じた。  先輩の手が俺のスラックスのベルトを外す。カチャカチャと、絶対に今、すぐそこにいるだろう誰かに聞こえる音を立てて、ベルトが解かれ、チャックを下ろされて、スラックスの前が乱れてく。 「ふんふんふーん、フフフフ」  壁一枚向こうから聞こえてくる陽気な鼻歌一つくらいじゃ、紛れて誤魔化せそうにない布と肌が擦れる音。 「ふふふ、ふーん」  下着をズラされて、跳ねるように飛び出した俺のペニスが。 「っ」  ズボンの前をくつろげて、俺のより一回り大きくて、太くて、硬い先輩のペニスと一緒に握り締められ、扱かれる。 「あっ」 「ふふふ、ふふ、ふふ、ふ」  大きな手に感じる。ちゃんと、ものすごく硬くなってくれた先輩のペニスのカリ首に自分のペニスのくびれを嬲られると、声が出てしまう。  気持ち良くてたまらない。  聞こえてしまう。服が乱れる音、気持ち良さそうに腰が揺れる度に、小さく、けれど確かに鳴ってしまうベルトの金属音。それから。 「あ、あっ」 「ふんふんふーん」  ペニス同士が擦れる快感に先端の鈴口から溢れたカウパーで先輩の指が濡れる音。ペニス同士が扱かれる、濡れた音。 「あっ」 「はぁぁ……」  用を足し終わった男が手を洗ってる。多分、水の音がしてるから。 「!」  ダメ、だ。そんなとこ、指で擦らないで。 「ンンっ」  鈴口のところを指でほじくったりしないで。 「んっ」  ゾクゾクって、感じてしまう。先輩の手に握られて、危うい小さな口を親指に抉じ開けられて、透明なのが溢れてしまう。ほら、溢れて、先輩の指を濡らして、またやらしい音が。すぐそこで聞こえる水音と全く違う、いやらしい音がしてしまう。 「はぁっ」  声、我慢できそうにない。  こんなの、我慢できない。 「あっ」  声が出てしまう。  トイレの個室で、先輩のペニスと一緒くたに握られて扱かれるなんて。どうしようもなく感じてしまう。カリのとこが擦れ合うと目眩がするほど感じた。先輩のも、気持ちいいですか? カウパーが溢れてる。また、ほら、鈴口のところ。  ね? 溢れた。 「っ」  先輩に竿をシゴいてもらいながら、夢中になってペニスの先端をいじってた。指先が先輩のカウパーで濡れるのがまた嬉しくて。 「ミキ」  まだ、トイレの向こうに人がいたんだ。  今、小さく声が聞こえた。「え?」って。  個室から声が聞こえたことに驚いた? ミキって、聞こえた? まるで女性のような名前が聞こえた気がして、今、そこで耳を傾けてる?  そこの奇妙なほどに音を消そうと努めている、個室の中が気になっている? もしかして、この中で今、女性と男性が行為に耽っているかもって、そう思ってる? 「っ」  先輩のが硬くなった。でも、俺のも、すごく熱くて硬くて。 (先輩……)  おねだりの仕方を、今。 (も、イク)  今、教わってるんだ。  口だけを動かして、名前を呼んだ。俺だけを見ててくれた先輩がつい溢れた自分の声に苦笑いをこぼしながら、キスをくれた。  ごめん、名前、けど、もう行った。  そう耳元で小さく、小さく喋るのにすら感じて、ただのサラリーマンが、トイレの中で蕩けてる。  見知らぬ誰かさんは個室の中にいるカップルの邪魔をしてはならないと気を利かせてくれたのかもしれない。  けれど違うんだ。 「っっ」  違うよ。中にいるのは女性なんかじゃない。男性なんだ。しがないサラリーマンがスーツを乱して、淫らな行為に耽ってるんだ。 「あっ、先輩っ」  そんなに激しくしたら声が我慢できない。気持ち良くて、堪えていられない。だから。 「お願い、先輩」  口を塞いでてください。そうねだって、腰を揺らしながら、舌を出して唇を開いた。 「んんんっ」  先輩の手も擦れ合うペニスも気持ち良くて、きっと、この瞬間だけは快感に堪えきれず、甘い声をあげてしまうだろうからと、自分から舌を絡める濃厚なキスをした。濡れた音をさせながらキスで喘ぎを塞いで、先輩の手の中で。 「っっっっ、っ」  射精した。

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