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第43話 ごちそう

 三回、貴方に好きだと告げてしまうと仕舞いになってしまう。  そんな噂があったのを貴方は知らないでしょう? 「ミキ? 何、笑って」  あったんだ。そんな噂が。  三回、好きだと告げると、別れてしまう。  きっとそれはそう間違いではない真実だったんだと思う。貴方は優しい人だから、好きだと言われれば言われるほど、自分にその気持ちがないのが申し訳なくて、罪悪感が募って、膨らんで、二人でいても申し訳なさそうな顔をしていたんじゃないかと思う。  とても、とても優しい人だから。 「なんでもないです。あの、先輩」 「?」 「もう一回、好きって言ってもいいですか?」  これは四回目に入ってしまう? 今のはただ尋ねただけだけれど、「好き」と言ったことに数えられてしまう? まるで子どもの言葉遊びみたいに、ダメですーって仕舞いになってしまう? 「いいよ」  仕舞いに。 「ミキ」  ならなくてよかった。 「せんぱ、ぁっ……ンっ」 「ミキ」 「あ、あ、あ、首筋、ンっ……」  四回目も告げていいと言って、けれどそれを言わせてくれない。首筋にキスをして、耳の後のところ、そこに低い声で名前を呼びながら、甘い口づけをするんだ。そこ、とても弱いのに。 「あ、ン」  すごく感じてしまうのに。 「あ、あ、先輩」  うなじにくれるキスがたまらなく気持ち良かった。それだけで、唇から溢れる吐息が震えてしまうくらいに気持ち良い。  貴方の家着は少しくたびれてて、首回りがちょっとだけ伸びてるから、感じて肩を竦める度にそのくたびれた首のところから肩が出てしまいそうになる。 「あっ」  ほら、肩が。  そしてその肩に歯を立てられて、ビクンと反応してしまう。先輩に食まれるのが好きで、もっと、して欲しくなる。 「ン、先輩」  けれど、先輩は口づけてくれるだけで、触ってくれない。どこもかしこも触って欲しいのに。 「先輩……もっと」  触ってくださいとねだろうとした。おねだりの仕方なら貴方に教わってとてもとても上手なはずだから。けれど、それを先輩が遮った。 「手、まだ冷たいから」  そう言って笑って、触れてくれない。  そう嘘をついて、躊躇ってる。嘘かどうかくらいわかるようになった。前はわからなかった。遠くで見ている  ばかりの存在だったから。でも、今はわかる。お金を払って、貴方の隣の席を買ったから。すぐ近くで見つめてた今の俺にはわかってしまうんだ。 「へ、きっ、触って、ください」 「ミキ」 「触って、ぁっ」  平気。手は汚れてない。  ―― 俺の手は汚い。 「触って、先輩っ、ぁ、ン」  大丈夫。汚くない。 「たくさん触ってください。手で」  好きなの。ずっと、貴方の手が好きだった。その手を捕まえて、ダボついた服の中へと連れ込む。下着は先輩のじゃ大きくてサイズが合わなかった。ズボンは、貴方が貸してくれなかったから履いてない。だから、少しめくられてしまったらほとんど裸。  先輩の手が服の中で胸を弄って、可愛がられるのを待っていた小さな粒を捕まえた。 「あっ……ん、あ、気持ちい、っあ、あ、抓って」  褒めてくれる時にその手で頭をポンポンってしてもらえるとその日一日最高の気分になる。 「あ、ん……もっと、して、先輩の指で乳首、して……あ、あ、あ」  貴方と手を繋いで街中を歩いた先週のデート、すごくすごく嬉しかったんだ。たまらなく嬉しかった。 「あ、それ、好き、乳首、気持ちい、もっとカリカリって爪で引っ掻いてくだ、さっ」  貴方の手でイカせてもらえるなんて夢のようだった。 「先輩」  大好きな人の、大好きな手で。  その手にキスをした。乳首を可愛がってくれていた手をとって、まだ躊躇っている貴方のことを少しだけ知らんぷりをして、丁寧にその掌にキスをする。たくさんの人を抱いてきた手だからと引っ込めようとするのも構わず。その掌に唇をつけて、舌先でチロチロと舐めてから。 「あっ……ン」  布団に押し倒され、俺が捕まえてキスしていた右手が薄い胸を撫でる。何もない。女性のように膨らんだ胸もないし、なでらかで柔らかい肉体でもない。その身体をその手で撫でて。 「指、舐められる?」 「ン」  言われて、頷き、素直に口にした。雛鳥みたいに。貴方に育てられた俺は素直にそれを口にして、舌を絡みつかせて、指を濡らす。 「ンっ、あっ」  平ったい胸にくっ付いた二つの粒の片方をその濡れた指で押し潰した。硬く勃起して、ツンと尖って貴方に可愛がられて快感を覚えた乳首が唾液に濡れて滑って、もどかしいくらいに甘く可愛いがられて、思わず腰が揺れてしまう。もっとして欲しくて、腰を揺らしてる。 「やぁ……ン」  口に含まれると蕩けてしまいそうに気持ちがいい。 「あぁっ……ン」  甘く喘ぐ唇に指が触れたから、それを当たり前ように咥えて、しゃぶりついて、さっきよりも丁寧に舌を絡みつかせた。ちゃんと濡れるように。貴方に仕立ててもらえるように。  この身体をセックスに溺れる気持ち良い身体にしてもらえるように。 「お前のこれ、もう濡れてる」 「あっ……」  言われてしまうと真っ赤になる。気持ち良さそうに俺のがトロトロと小さな鈴口から透明な液を溢して、ペニスの茎の部分を伝ってた。 「ミキ」 「あっ……ンっ」  握られると、くちゅりと甘い音がするほど濡れて。 「あ、あ、あ、あ、先輩っ」  扱かれると、やらしい音がして、またもっと濡れてしまう。 「これ、どうして欲しい?」 「……ぁ」  愛撫に蕩けてる。 「ミキ」 「あ……これ、ぁ、舐めて、ください」  自分で根本に指をそわせると、恥ずかしくてたまらないほど濡れてた。 「舐めて、欲しい、です」 「いいよ」 「あっ! あぁぁぁぁ」  イってしまいそう。だって貴方の口の中はたまらなく気持ち良くて、たまらなく熱くて。  ―― 食べるとがっかりする。 「あ、先輩っ」  ―― これじゃなかったなって。 「あ、ん……も、イっちゃう」  貴方がとても美味しそうに乳首もペニスも食んで可愛がってくれるから。 「あ、あ、あ、あああああっンっ」  嬉しくて、ほら、こんなに簡単にすぐに、イってしまう。

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