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第50話 耽溺
独占欲とかヤキモチとか、その類の感情を初めて無制限に持ってみた。
すごく嬉しかった。
欲しくて、欲しくて、けれど、絶対に貴方を独り占めなんてできるわけがないと思ってたから、そういうのを思ってはいけないと制限していたから、それをこんなふうに胸に抱えられることが、とても嬉しくて。誰に遠慮することもなく、この感情を振り翳せることが幸せで。
「ミキ……」
「あっ」
だから内心、胸を躍らせて、はしゃぎながら
「あぁっ」
貴方のペニスを。
「あ、あ……」
「っ」
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
自分の体重もかけながら、熱いのを体の一番奥のところまで飲み込んでいく。
「あっ……」
太くて、硬くて、たまらない。
「っ、ミキっ」
「ンっ……」
「挿れただけで?」
そう、イッてしまう。だってとても気持ちいい。先輩は挿入しただけで達して、その腹筋の上に白を飛ばした俺に笑って、その白を指先で掬い取る。指先をとろりと濡らして、また腹の上へと滑るように落っこちた。
「あっ……ン」
「中がきゅうきゅういってる」
「んっ」
だって、とても、とっても気持ちいい。
「あぁっ!」
クンと腰を小さく突き上げられて、背中を逸せながら甘く啼いた。
「や、俺が動く、の」
「っ」
腰を自分からくねらせて、ずぶずぶと根本まで深くしっかりと咥え込む。
「はぁっ」
先輩の長い指でも届かないところを亀頭にグリッと押されて、思わずまた仰け反ると、先輩がさっき吐き出した俺ので濡れた指が、達したばかりで敏感なペニスを握った。
「あ、ン……すご、い……」
震えてしまうくらいに気持ちいい。溢れて止まらないくらいに快感に身悶える。ほら、腰を振るのをやめられない。
「せ、んパイっ」
ここ、好きなの。ここを先輩の太いところで引っ掻かれるのがすごく好き。
「あっ……ん、あっン……ああっ」
腰を上げて、浅いところを擦ってからね。
「あぁぁぁぁっ」
深く一気に沈み込んでく。
「あっ……はぁっ、ン」
いつもこれを貴方にしてもらうのが好きで、甘く微かに中だけでイッてしまう。やらしい濡れた音を立てて、何度も何度もされたくて自分から腰をくねらせてしまう。
「せ、んぱいも、気持ち、い?」
貴方に教わって覚えた、セックス。
「あぁ、すげ、気持ちい」
「あぁっン」
俺の中も、ちゃんと気持ち良い? 貴方のことをちゃんと気持ち良くさせられてる?
「ほ、んと?」
「あぁっ」
「俺の身体、気持ちいい、ですか? 先輩に教えてもらった、身体」
「っ」
「あっン」
腰を揺らしたら、応えるように先輩が下から突き上げるから、またペニスの先端からとろりと気持ち良さそうに白が溢れて、伝い滴ってく。
敏感で、感じやすくて、たくさん仕立ててもらった。
貴方が気持ち良くなれる身体に。
「っ」
ね、先輩。
「ずっと、先輩のことが好きだった」
そっと、そーっと、貴方の唇に唇で触れた。初めてした、あの体育倉庫のマットの物陰に隠れて勝手に済ませた、勝手にもらってもらったファーストキスみたいに不器用に押し付けただけのキス。
「あっ……好き、ですっ」
あの時そっくりのキスをして、あの時はできなかった告白をしたら、震えてしまって、けれど、その身体をキツく抱きしめてくれた。
「ミキ」
「あっ……んんんっ」
あの時とは違って、先輩が抱き締めて、舌を挿れてくれた。
「あぁぁぁっ!」
激しく貫かれて、背中が浮き上がるほどしなった。
「あっ、ン、それ、ダメっ、またイク」
浮いた腰を鷲掴みにされて、深く射抜かれて、孔がきゅぅんってその小さな口を窄めた。貴方のことをとても欲しそうにしてる。しゃぶりついて、絡みついて、ねぇもっとっておねだりをしてる。
「あぁぁ、やあっ……ん、乳首も、っあ!」
頭にキスをされて孔がキュンキュンした。髪も性感帯になったから。乳首だってとても敏感になった。ペニスで孔を可愛がられながら、甘噛みをされると切なげな喘ぎが溢れるくらいに感じやすくなった乳首。摘んだって、少しくすぐったい程度だったそこは噛まれたがりの欲しがりになった。ペニスだってそう、貴方に握られただけで蕩けてトロトロに濡れてしまう。
身体の奥は、もう――。
「あぁぁぁっ!」
きっと貴方の形になってる。隙間なく吸い付いて、ほら、すごいの。先輩の形にちゃんとなってるから、貴方にしか感じない。
貴方に教わって、貴方に育ててもらった快楽。
これしかいらない。
「ミキ」
「? ぁ、先輩?」
どうかしたの? そうセックスに夢中になっていた俺は顔を上げると、深く舌を差し込まれた。驚くこともなく、争うこともなくそれに応えて自分からもはしたない音をさせてキスを頬張る。自分からも首を傾げながら舌を絡めて、濡れた音を立てた。
「好きだよ」
ずるい。
「好きだ、ミキ」
「あ、あ、あ、あ……」
今、そんな顔で言うなんて。
「あぁぁっ!」
「初めて、知ったよ」
「あっ! ダメ、そこ突いたらっ」
「何回も言いたくなるものだって」
「あぁぁ!」
貴方のことばかりを見てたから、わかってしまうのに。本当に嬉しいのかどうかって、わかっちゃうのに。
「好きだよ。幹泰」
「あっ、あっ!」
そんな嬉しそうな顔をして言わないで。
「好きだ」
「あっ!」
そんな初恋にはしゃいでるみたいな顔で微笑みながら、どこにもやらない、みたいに抱き締めながら、好きって囁いて。
「あっン……久志、先輩っ」
俺の中でイクなんて。
だから、ずっとずっと貴方だけを好きだった俺はこの幸福感に溶けてしまいそうで、必死に初恋の貴方にしがみ付いた。抱きつきながら、貴方の腕の中で何度も何度もイかされた。
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