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偽物高校生編 5 柔らかで甘いキスして

「昼間の」  先輩は溜め息をつくと、カバンをソファに放って、ネクタイを緩めながらそう呟いた。  帰宅してすぐ、エアコンをつけると、疲れがどっと押し寄せる。教室っていう、人が複数人一つの空間にぎゅっとこもっていたから。汗ばんでしまった肌がシャツに張り付くのも。  もちろん、制服は学校内で帰る直前にひっそりと着替えた。さすがにあの格好で帰宅するまでの道を歩く勇気なんてない。  昼間の……男の子のこと?  貴方が頭の葉っぱを取ってくれた時、俺が一緒にいた子? 「あれ」  学校ってあんなに暑かったっけ。  社会人になっちゃうとその活動の熱量に少し戸惑う。これでも仕事柄デスクワークばかりで済むことなんてないから、かなり動くほうだと思ってたけど。  暑かったなぁ。もう九月になるのに、って、帰ってきてすぐ冷蔵庫で冷えていたミネラルウォーターをぐっと飲んだ。 「学校の中、案内してもらってた、とか?」 「……はい。俺が女子生徒に海外のこと訊かれて困ってたからと助けてもらったんです」 「……ふーん」  不服そう。  貴方が仕組んだのに。本来なら学校内を案内してもらって、少し先生方にインタビューしてから、様子をしばらく観察させてもらって、出された条件の中での改善案を提示するだけでいいのに。それなのに、先輩が俺に高校生の格好なんてさせたんでしょう? 「先輩もお水どうぞ」  そんなことを言うなら、貴方こそ、でしょう?  たくさんの女子生徒に囲まれてたの、見たもの。  教育実習の大学生なんて女子生徒にとっては少し大人で、けれどしっかり恋愛対象範囲内だ。しかもかっこいいんだもの。即座に群がられるに決まってるのに。 「不貞腐れ……てます?」  言われて、なおいっそう眉間にシワを寄せてる。不貞腐れになりたいのはこちらの方なのにね。  その眉間を指で、ツンッて突ついてから、両手で頬を包み込んで、その瞳を覗き込む。でも、まだご機嫌斜めでキスしてくれないから、自分でつま先立ちになって、そのへの字の唇にキスをした。早くご機嫌が治るようにと、啄んで、とても丁寧で甘やかなキスを。  その不貞腐れの原因は先輩が自分で作った我儘な先輩に。  不貞腐れたいのはこっちです。  貴方が女性をすぐ虜にしちゃうのは、昔も今も変わらない。  そのことに俺はいつだって、こんな気持ちになるのに。  何度も何度も見た光景。  でもあの頃よりもずっと気持ちがザワザワした。いいなぁ、だった胸の内で暴れてたのは羨ましい気持ちじゃない。その人は俺のなのにってヤキモチ。 「ただ親切にしてくれてただけですよ。それだけなのにそんなに、口、への字にするなら、高校生の格好なんて」  させなかったらよかったでしょう? 「…………への字になってない」  なってますってば。ほら。 「……ん」  ね? 唇、固いもの。 「ん、ン」  その硬く結ばれた唇に柔らかな唇を押しつけて、何度も啄んだ。  開いてくださいって、ねだるように。  ね、開けて、って懇願するように。  俺だけの人に。  俺だけの先輩に教えてもらったやらしくて優しくて、何にも知らない未経験の俺を蕩けさせちゃう、甘いキスを。 「女子高校生に囲まれてた……」  ――いいなぁ。あんなふうに近くに行ってみたいなぁ。  そう思っていたその人の一番近くに今はいられる。貴方をぎゅっと抱きしめて、その首筋にキスもできる。唇にだけじゃないの。 「先輩の恋愛対象、性別で言ったら女性だもの。俺の方がよっぽど」  ヘソ曲げたいもの。 「っ、ミキ」  ベルトを外す金属音にすら興奮する。 「ヤキモチ、してるの、俺です」  ――先輩は俺のなのに。  そう思いながら、廊下で女子に囲まれる貴方を見つめてた。 「っ」 「あ……む」  スラックスの前を広げて、下着越しにキスをしてから、下着を下ろして、熱にキスをした。勢いよく飛び出したそれに唇を沿わせてると、ぴくんって反応してくれて、鼻先をわずかに引っ叩かれて。 「ん」  今度は根元に、リップ音を立てながらキスをした。  キスして、その柔らかい皮膚を唇でやんわりと喰みながら、先端の丸いところを掌で包んで、きゅっと撫でてあげる。先輩の好きな仕方。  口に含めば、ムクムクともっと硬く大きくなってくれた。こんなに熱くて大きいの、これで中を擦ってもらえたらって思いながら、お腹の外、奥のところをキュンキュンさせてしまう。 「ミキ?」 「ん、ン」  自分から、スラックスを脱いで、足元でシワくちゃになってるのもかまわず、自分の後ろに手を伸ばした。 「っ、んんんっ」  数度、口の中で先輩のを扱いてから、その先端にだけキスをしながら手で強く握って、何度かそのまま手を動かす。そしてから濡れたその指で、中を撫でると、咥えた先輩の熱が、口の中でまたもっと太く硬くなっていく。 「っ、ミキ」 「ひもひ、イイ?」  貴方に教わったこのやり方しか知らない。 「っ」 「おっきい……」  貴方を興奮させるやり方しか知らない。  こうして、壁に手をついて、そのまま背後にいる貴方の熱を挿入しやすいように足を広げる。片手で、ヒクつくそこを見せつけるようにお尻を広げて。 「早く、欲しい、です」  腰をぎゅっと、指先が食い込むほどしっかり掴まれて、期待にヒクつく孔に熱が触れた。キスするように触れて、そこがぴちゃって濡れた音をさせたことに興奮しながら。  ズブズブと入ってくる熱に震える。 「……あぁ」  貴方を。 「あ、あぁ……ん、あ……大きいっ」 「ミキ」 「あ、あ、あ激しい、っ」  貴方を気持ち良くさせる方法しか知らないの。 「あ、あ、あ、イクっ」  貴方に抱いてもらう方法以外なんて、知りたくないの。 「あ、あぁぁっ」  甘く、うなじを噛まれながら達した俺の中、奥を射抜かれて、きゅうぅんってしゃぶりつく中をずるりと抜けられて、抜けちゃう快感に震える尻に先輩の白をかけてもらった。  熱くて、気持ちいい貴方の白をかけられながら、また小さく甘イキすると、髪にキスをしてくれた。 「あ、先輩」 「ミキ」  振り返っておねだりをすれば、優しいキスがもらえた。ようやくもらえた、への字の唇じゃなくて、優しくて、柔らかくて、やらしいキスでまた微かに、余韻だけで。 「あ……ん」  とても気持ち良くなってた。

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