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偽物高校生編 10 面影想い
嬉しくて溶けてしまうかと思った。
最初はなんの戯れなのかと思った。まさか高校生の格好をさせるなんてって。ちょっと戸惑った。でも、先輩がこんな悪戯じみた遊びをし始めた理由を教えてもらったら、嬉しくてたまらないでしょう?
もしも気がついていたらって。
もう一回見てみたかったって。
そんなこと言われたら。
もしも気がついていたら、俺の片思いに気がついていたら、たくさん声をかけてくれた? たくさんかまってくれた? 先輩から俺のことを見つけて、名前を呼んでくれた? 他の誰にも同じ呼び方をさせないで、ヤキモチしてくれた?
貴方のものって、独り占めみたいに。
してもらえた?
――その呼び方はダメ。
「ミキ……」
「もっと、そこ、して」
ミキって呼んでいいのは俺だけなんだ。
「ここ?」
「そこっ」
ミキは誰にもあげないから。そう言ってもらえた気がした。
「あ……ン」
声が切なげでとても甘い。
自宅のベッドルームのカーテンをまだ日も高いうちから締めて、着替えることもせず、先輩に抱きついておねだりをした。
帰ってすぐ、して欲しいですって、麦茶を出そうとする先輩の背中を捕まえた。捕まえて、抱きついて、キスをした。
「指? それとも」
「あ……舐め、て」
自分から高校生の格好のまま、制服でおねだりをした。
ワイシャツを自分でまくり上げて、されたくて、して欲しくてたまらなかった愛撫を懇願すると、先輩が意地悪な笑みを口元に浮かべながら、期待に膨らんだ乳首を指の柔らかいところで押し潰して。
「あっ」
爪で引っ掻いてから。
「あぁっ、それ、好きっ」
ゆっくりと勃っている粒を口に含んでくれる。その快感に甘く悶える。
「はぁっ、ん」
口の中で舌先に転がされて、弾かれて、ちゅって音を立てながら吸われた。
やらしい声をあげながら、もっとしてと、その優しい舌先に自分から押し付けてる。
「ミキ」
大好きな人の口の中で濡らされる快感に身悶えながら、何度も、腰をくねらせてしまう。
「あ、あ、あ、もっと、いじめて」
ねだると、先輩が乳首に歯を立てて、反対側は指先で強すぎるくらいに摘んでくれて、際どい快感が下半身を直撃する。ビリビリって、身体の芯が痺れてたまらない気持ちになる。
貴方にだけ、ひどく意地悪な愛撫をされたくて、とろけてしまいそうなくらい甘やかされたくて、おかしくなりそう。
「ミキ」
「あぁ、ン」
気持ちい。
「このまま乳首だけでイクとこ見せて」
「あ、あ、あ」
おかしくなる。
「舌で、もっと」
「……」
「あぁ、ダメ、イクっ」
抓られるの、好き。指でたくさん弄ばれたい。もっと、お願い、先輩に。
「あ、あ、あ、ダメっ、イク、イッちゃう。イクイク」
「ミキ」
「あ、ンンンンンンっ」
きゅぅんって強く両方を唇と指で刺激された瞬間、頭の芯が痺れてしまうくらいの快感が突き抜けて。
「……ぁ」
「ミキ」
達したばかりだから、髪にキスをされただけでも震えるくらいに感じてしまう。
「乳首だけで、こんなに濡らした?」
「あっ、や……ン、見ちゃ、や」
恥ずかしくなるくらいに下着の中が濡れてる。暴かれてしまうとスラックスと下着を脱がす先輩の手に力無く指を絡めて、わずかに抵抗して見せるけれど。
「あっ……ん」
「ドロドロ……」
「やぁ……あ」
耳元で囁かれて、また少し、熱が先端から滲み出てしまう。
だって仕方ないもの。
ずっとして欲しくてたまらなかったのを我慢していた身体は、やっともらえた快感に浸りたくて仕方ない。教えてもらえた快楽を味わいたくてずっと焦がれていた。だから――。
「あン」
まだワイシャツを着たまま、たっぷりと可愛がられて、ぷっくりと勃ち上がった乳首に悪戯に優しいキスをされて、小さく甘く啼くと先輩が微笑みながら身体をずらし、キスをしてくれた。
大好きな先輩。
「細いなって……同じくらいかなって、思ったことがある」
「?」
「制服姿のミキと廊下ですれ違った日の放課後とか」
「……」
「彼女を見ながら、ミキの方が細いかもなって」
とろけそう。
「思ったよ」
「……」
「そんで、頭の中で妄想しかけたミキの姿を慌てて消して」
いいなぁって、何度も思った。
先輩の彼女が羨ましいなぁって。一緒にいられて、手を繋いで、キスをして。
「男だぞって、って、何度か……思った」
セックス、してもらえるなんて。
「先輩」
羨ましいなぁって思いながら、何度も何度も妄想した。
こうして四つん這いになって先輩のこと誘惑したいって。
だから嬉しくてたまらない。羨ましくて仕方のなかったその時間に俺が邪魔をすることが、ほんの一瞬でもできていたなんて。なりたくてたまらなかった彼女が一瞬、大好きな人の頭の中で俺に変えてもらえていたなんて。嬉しくて溶けてしまう。
ずっと妄想していた。
「……ここ」
やらしいところ、一番恥ずかしいところを指で慰めながら。
「欲しい、の」
ここに先輩のを挿れてもらえたらって。
「して、ください。ここ」
思いながら、ぎゅっと目を閉じて、貴方に抱かれる願望を指で慰めてた。
「挿れて」
きっともっと太くて、ずっと熱くて。
先輩のをここに挿れてもらえたらどんな心地なんだろうって。
「あっ……先輩っ」
「っ、ミキ」
「あ、あぁぁっ、ダメ、また」
ぴゅるって堪えきれず、達した。
「あ、あ、あ、あ」
「やっぱ」
「あぁぁ」
太くて硬くて、奥までいっぱいになる快感に身悶えながら。
「細い……」
大好きな人でいっぱいになる、指なんかじゃ到底味わえなかった快感に溺れて、数えきれないくらいに達してた。
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