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第九章 熱い愛 ③

「純己、お尻を俺の方へ向けるんだ」  ニックは鼻息荒く純己の腰を持ち上げてくるっと回転させ、顔に跨らせた。  ニックの剛直を咥えながら、同時に自分のものも愛撫されると、まるで自分で自分を感じさせているみたいに錯覚してしまう。  お互いに夢中になっているとニックが純己のものを口から外した。かと思うと、アナルに蒸気のような高い温度の鼻息がかかり、なんの躊躇もなくニックは純己のまだ閉じている入口をこじ開けるように舌を入れ始めた。純己の腰が下がるにつれ肉厚な熱い舌が菊穴を同時に貫く。 「あんっ、はああん、あ、だめ、だめっ」  ニックは純己のお尻を鷲掴みにしてわざと上下させる。まるで舌をペニスに見立てて挿入しているかのように何度もピストンを繰り返す。 「んぁっ、あぃん、うぅあん、きゃはっ、それ、だめ……っ、ほんとにっ、だめっ」  アナルの媚壁を熱を持った舌が強い圧力で往来する。絶え間のない快感が純己の体を芯から甘く焦がしていく。  ニックは純己の桃のようなお尻の頬にキスをして、片方ずつ頬張った。かぶりつかれると歯が当たるじれったい切なさがこみ上げてくる。  ニックの口はいろんなものに変化し、掃除機にように尻頬に吸い付いてくる。  キューッパッ、プスンッパ。 「純己のお尻にもキスマークが付いたぞ!」 「あぁ、もうぉっ、あん、いやん」 「ここは誰にも見られないところだからいいじゃないか!」 「だってぇ……」 「いけない子にはこうだ! うむむむむぅぅっ……」  ニックは純己の秘穴を意地になったように舐め回した。柔らかいドリルが猛り狂っているような連続した快楽が純己を襲う。 「あぎゃぁぁぁっ、わっううんんっ、はぁぁぁん」 「……っむむぅ……っ、俺のも、咥えるんだっ、んんううむっ」  純己は快感に酔いすぎて首を反らせて喘いでいたせいか、ニックの肉棒を支え棒のようにしてしがみついていたことをやっと認識した。  口で奉仕することの欲望が再び湧いてニックの大きな男根をまた夢中になって頬張った。  ニックの先から溢れる液を舌と唇で拭っては飲み込んだ。口を離すと糸が引き、それがどこまでも途切れずに続く濃さがニックの熱量を物語っていた。  ニックは、純己を抱き上げベッドに寝かせると覆いかぶさってキスをしてきた。甘いキスをされると純己の屹立の先からも、とろとろと音がするくらいに愛汁が滲んでくる。  体の芯がじわっと痺れ思わず鼻から小動物のような声が出てしまう。 「どうした? そんな甘えた声出してっ」 「だって……」  純己は自分から腕を回して、ニックのしっかりとした首元に顔を寄せる。 「だって何? 言ってごらん」 「……感じすぎるんだもん、ニックのキス」 「はっはっは。俺も感じてるよ、純己。こうやって甘えてくれるとこも好きだ」 「いつも甘えてたい……こうやっていつも守られたい……ニック……」 「もちろんだ、よしよしいい子だ。どれだけ甘えてもいいからな」 「うん」  純己は返事とともにコクリと頷いた。 「あぁ……もう俺は我慢ができない……純己、そろそろ一つになろうか? もう家族への紹介も終わった。これで公認のカップルでありパートナーだ。俺はこの時を待っていた。ずっと待っていたんだ」  胸の中で大きな塊が跳ね、ドキンと音を立てた。 「……うん……」  純己がそっと見上げるとニックと至近距離で目が合った。 「可愛いを超えている……」  しばらくキスが続いた後、ニックは純己の脚を開いた。ニックの大きな体躯が純己の柔い抵抗を止めた。  ニックは数本の指に唾をつけた。その指を緩みの出始めた純己の狭穴に少し入れた。 「んはあ、ぁああ……うはあっ……」  ニックの唾液がたっぷりついたそこは、ニュチョッという音を出した。執拗に舌で広げられた分、もう受け入れる柔らかさになっていた。 「次は二本だ」  さっきよりも窮屈になった。突っ張るような刺激が一気に体を駆け巡る。 「はっあ! ああん、んんあ、いい、ああいい、だめっ」 「ピクピクしているよ……純己の中……おぉ」  ニックはベッドの脇の引き出しからローションを取り出し指とアナルの両方に付け、より奥まで二本の指を挿入し、あらゆる方向に傾けて動かした。 「あっあっ、はあん、わぁぁはっ、だめえん」  弛緩の方に向かい出すと、窮屈さは甘い痺れに変わり、摩擦の愉楽へと置き換わってしまう。  ニックは自分のペニスにも潤滑油をしごくように塗り、蕾にあてがったまま高い位置から純己を見つめてくる。 「入れるよ……」 「……うん」  純己は恥ずかしさと未知なるものへの恐さで横を向いた。 「純己、顔をこっちに向けてくれ、俺が入る瞬間の顔を見せてくれ、どんな顔になるのか見たいんだ」  純己は紅潮した顔を真っ直ぐ戻し、弱々しくニックを見上げた。 「……っは、初めて、だから、や、優しくして……ね……」 「分かってるよ、分かっているけどそんな顔されたら、俺は強行突破しそうで自分が恐いんだ」 「ぉ……お願い……」 「よし、落ち着け俺……ゆっくり入れる、からな、ゆっくりな……誰もまだ汚していない純己の中に俺を入れるからな……純己の内側に俺を残して本当のマークをつけるからな」  征服される緊張と深く愛される喜悦で純己は体がすでに熱い。  秘門の扉を開けようとしている知らせが下半身から全身に走った。 「っ……ん……っぁ……っ」  純己の指が自然と自分の唇に添えられる。充満した陶酔をこぼさないように、あるいは溢れた淫欲を拭っているかのように、指に歯が立っていた。 「その仕草、可愛い……」  と言われた瞬間、今までに感じたことのない圧迫感が迫る。 「んあっ!」  傘が蕾を押し広げ、一気に開花させられてしまった。  カリが通過し終えた瞬間に純己の腰がビクンと跳ね、ニックの逞しい腕を掴む。 「あ! あああ!」  思わずニックの腕を持つ手に力が入る。 「痛くないか?」 「……ダァ……大丈夫……っうん」 「まだ三分の一だぞ、あぁ、純己の中……入口が締まるぅ……なんてこった……」 「あっ、はんっあああっ、おっきい……ぃぃ」 「……これで、半分だ……おお、ぐちゃぐちゃしてて熱い……」 「んんんっわあああっ、あはっ、うんはっ」  唾液と指と舌によって広げられたそこは恐れていたような痛みはなかった。でも油断すると破裂しそうな窮屈感が全体に広がり、もう最奥にある筒の曲がり角に当たり始めていた。  それでも太い男根に媚肉を擦られる甘痒さが圧迫感を忘れさせてしまう。 「あがあはあ!」  奥の奥の行き止まりに突進されるような衝撃が走って純己は首を反らせた。 「これで全部入ったよ……奥にもちゃんと締まるスポットがある……ああ、たまんないよ」 「あ、あっ、んっ、おっきい、ようっ、ひぁああっ」  純己はシーツと枕を握りしめた。その拍子に純己の唇の端からツーっと唾液が流れた。  ニックは純己に覆いかぶさり垂れた唾液を舐め取って唇を奪い、大きな手で純己の小さな手を包んだ。そしてゆっくり腰が前後の動き始める。 「ふんう、っ、んん、大き、すぎて、あ、んんん、っうう、ふうん、んんっあ!」 「ああ、最高だ……純己、とろけてるのに狭くて、意思を持ってるみたいに握ってくる……」  ニックの腰が動くと、純己の体も揺すられ、中心に熱い異物感と抱かれる高揚感が湧き上がる。ニックの低い喘ぎ声が聞こえ、焼け石のような腕と胸に包まれ、甘苦しい重みが絶え間なく続くと、何もかもを封じ込められる屈服感が内側にこもり、それが灼熱の快感へと変化してしまう。 「あああっ、んっうっあはは、んんっ、あぎゃぁっ」  どうなってもいい……。このままニックに全部食べられたい……。僕を取り込んで欲しい……。見えない存在になってニックの腕の中で生きていきたい……。 「純己……おぅ……気持ちいいぞ……ああっ」 「僕も……はあ……気持ちいい……んんはぁ」

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