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第九章 熱い愛 ④

 ニックは純己の背中に腕を回すと上体を起こし、向かい合って座る体位になった。それは同時に純己の奥深くにニックの屹立が入ってしまうことを意味していた。 「んあああっ! あたりすぎっ、ううああっ!」  心臓を突かれたような衝撃が走る。純己は、ニックの太い首にしがみつき背中を反らせて喘ぐ。でも背中を反らせると余計にその角度を深めてしまい、どう体勢を取ればいいか分からずにいると、ニックが腰を動かし下から刺激してくる。  ニックは純己の太腿の下に腕を入れ持ち上げたままベッドを下りて、床に立つ。 「ぐああっっ! あんがぁぁ!」  純己の全体重が自然とニック側にかかり、最奥に肉棒が簡単に届いてしまう。  ニックは駅弁スタイルで純己をぬいぐるみのように扱い、軽々と持ち上げては落とし、秘筒の淫具のように弄ばれる。 「あっあっあ! いっやっはっあ! んは! だめ!」 「もっと俺を感じろ! お前は俺のものなんだ! 俺だけを刻め!」 「か、かん、感じてるっよぉぉぉっ、んあ、ああっ、ぼ、僕もぉぉっ、ああ」 「まだだ! まだ俺以外のことを考えてるだろ! まだまだだ!」  苦しみの向こうにある快感が純己を誘ってくる。  こっちにおいで……早くおいで……ニックを芯で感じればいいだけ……さぁ感じて……。  純己は白目が剥き始め、口から涎が垂れ、首が反れていく。ニックのピストンは容赦なく繰り出され、純己の嬌声に拍車がかかる。  手足に力が入らなくなっていく。ニックの首に回している手が少しずつ緩んでいく。 「あがああ! わぎゃああ! だきゃああ!」  だめ……手が……手に力が入らない……落ちる……。  次の瞬間、するっと手がニックの首から離れた。そこへニックの手が純己の太腿から臀部を通って伸びる。  ニックが腰を落とし、大きな手の平が純己の背中に添えられる。純己とニックの繋がりの角度が変わり、菊壺の上側が陰棒で強く擦られる。 「……ぁ、あああ、っひやぁぁっ!」  純己は上体を反らせたままビクビクと痙攣させる。男筒の途中にある肉壁の一部分にニックの頑棒がもろに当たって静止してしまった。 「そっ、そこはっ、はん、ダメッえェ! ええああ!」  他の媚肉にはない神経が宿っている場所に棒圧を加えられ、ぐりんぐりんという音が体内で苛烈に響く。次元の異なる世界につながっているその小さな淫塊のせいで純己の狭い道は快楽の地獄になってしまう。 「ここか? ここだな? んん? よーし、永遠に俺で溺れさせてやるからな純己!」 「ん、そこっ、は、なんかっ! おかしい! だめ! って、ああ、だめっ! いい、おか、おかしっく、ナ……っちゃう! わうう!」  ニックは腰を回し肉槍で肉圧をさらにかける。  前立腺への淫猥な刺激は、芯から身悶えする愉悦を猛烈に広げさせる。 「いっちゃ、……う、いっ、あ、ニック、僕、いっちゃうよぉ!」 「いけよ! 俺のペニスでいけ! そして俺だけの身体になるんだ!」 「あああっいくっっっ、あっ! 僕はっ、あっ、永遠に、んんっ、ニックのものだよぉぉ! はっ! イ、イッ、イッぁ……っクぅぅぅ!」  純己の白濁が天井に向かって吹き上がった。初めて性器に触れずに絶頂を迎えてしまった。  首が後ろに垂れたまま、放出のたびに純己の体は操り人形のようにカクンカクンと跳ね、手足が小刻みに震える。 「はあっひ、はひ、あっひぃ……ふぅん……んあっ、はぁ……」  射精の快感の余韻が尾を引き、純己の頭の中は真っ白になり、急激に全身の筋肉が弛緩する。 「純己、いい子だ……やっと分かってくれたんだな……よーし、今度は純己の中に俺を溶かして混ぜてやるからな。俺の細胞を純己の細胞にするんだ」  力が抜けた純己のために、ニックは部屋の壁に純己の背中を着ける。向かい合う形になり、挿入したままニックは純己の唇を甘く吸う。 「……んんっ……ん」  純己の弱々しい鼻声が漏れる。ニックは上半身に飛び散った純己の白濁をそのままに、純己の太腿を腕に乗せ、臀部を鷲掴みにしてその真ん中の奥に向かって肉棒を進ませる。徐々に腰の動きを速めていく。 「ぁ、あ! ぁ、んあ! わああニックゥゥっ」  射精したばかりだというのに、アナルからまた深い快感が沸き立った。純己が思わず手に握ったのはすぐ横の窓にかかっているカーテンだった。カーテンが引っ張られ律動に合わせて揺れる。シャアシャアとカーテンレールが小刻みに動く音が鳴る。そのたびに陽の光が揺れながら射し込み、純己の瞳の潤いをより輝かせた。 「可愛いよ、純己、美しい……興奮する……」  背中が壁に着いている以上、後ろに逃げ場はない。そんな状態でニックの長大な肉根が最奥を突いてくる。身体の中心を打ち抜かれる凶悪な快楽をまるごと受け止めなければならなかった。 「あんはっ、あああ、おわっ、ん、きゃぁ、うう」 「俺をもっと感じろ! 俺じゃないと感じない身体になるんだ! もっともっと!」 「っこ……ん、壊れ、んるぅ……あ、あ、あ……壊れちゃう! ああっっ!」 「いい顔をしてきたぞ……純己……っ……その顔だっ、その顔が俺の純己の顔だ……っ!」  ニックは低く唸りながらまた純己の口に食らいつく。  上の口では軟体の肉が縦横無尽に暴れ、下の口では絶倫な剛直が抽送を繰り返す。出入り口の全てをニックで塞がれ、愛の衝撃が粘膜を焦がしていく。 「純己っ、俺もそろそろイクぞ……っ! うおぉっ!」  ニックの顔が歪んで紅潮し、腰の動きが一段と速くなった。肉体の快感と心に響くニックの猛りの声に、純己も呼応して叫んだ。 「ああん、んあああ! イって! 出して!」 「どこに出して欲しい? んん?」 「ナ、ナカ……僕の中にちょうだい!」 「いい子だ、理解が早いぞ。中だな、分かった! 俺の愛を感じさせてやる!」  「ああ! 感じたい、ニックをもっと感じたい! いっぱい、いっぱい出してぇぇ!」 「出すぞ! 中に出すぞ! んんん……あ、が、あっ、はああ! 純己ぃぃぃ!」  ニックの大きな体躯が固く跳ねる。純己にもその強い躍動が伝わってくる。  直腸の奥の媚肉に灼けるように熱い精液が飛んでくる。何度も何度も飛んで来る。そのたびにお腹の中心がむせるように熱を帯び、ボンボンという叩くような振動が伝わる。 「ぁぁぁ……あった、か……ぃ……」  純己は思わず自分の人差し指を噛んだ。身体の揺れの波が収まりつつあるニックは純己の耳元に顔を埋めて息を整えていた。耳元に体の中心と同じくらい温かい鼻息がかかる。  ニックは穏やかなキスをしてきた。 「純己……愛してるよ、心から愛してる」 「僕も……愛してる」  ニックがお尻からそれを抜くと、下を向いたままの肛門からノチャっと床に白濁が一気に落ちた。まるで純己の内臓が抜け落ちたように切なく温かい悦びがアナルに与えられた。  ニックの体液の温度は冷めることなく、純己を芯から炙り続けた。  顎が震え始めると、純己の唇の端から二人が混ざった唾液が頬を伝った。 「はぁっ……ぁ」  それを舐め取るようにニックの舌が這い、口に舌ごと戻される。 「っ……んんん」   全身にニックが充満し、空いている場所からニックが溢れようとしている。  愛の言葉が口から口へと注がれる。  キスをやめたニックの目が血走っていた。 「次はベッドで四つん這いになろうか?」  驚きと困惑とその陰に潜んでいる嬉しさが心の中でせめぎ合った。  純己はベッドに静かに下ろされた。ニックのそこはずっと天井を向いている。  力を振り絞って四つん這いになり、形のいいお尻を突き出す。 「この可愛いお尻……初めて純己を見たのがこのお尻だ……」  いきなりそれは入ってきた。残っている精液も手伝ったが、愛されすぎて柔らかくなった淫穴には恐いくらいにすんなり入った。窮屈さもなく、強く撫でられて擦られて、奥を突かれる深くて長い快感に酔いしれる。  体位も手伝い、筒のカーブの先まで侵入しようとする大きさに純己の淫芯が歓喜してしまう。 「あん、やあ、すごぃぃっ、あはん、あたるぅぅ、あは、感じるんんん! わっあ……」  パンッパンッという派手な音と純己の嬌声が、満月が顔を出すまでずっと鳴り響いていた。

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