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番外編 鯨飲馬食
ペラペラのカーテンの隙間から朝日が帯状になって部屋に忍び込む。それに目を刺されて寝転んだまま目蓋をこじ開けるが、まだ視界がぼやけてる。
その中にスイの姿を探して部屋を見渡せば、キッチンの流し台には昨日のデリバリーの空き容器達が積まれていた。
スイは涼やかな見かけによらずめちゃくちゃ食べる。いや、入るって言った方が正しい。普段の食事は普通の量だし。でも成長期だとか関係なくフードファイターかよってくらい入る。
で、その肝心のスイは見当たらなかった。
またかよ。
って思ってたら、背中に暖かい感触を感じる。そちらに寝返りをうてば、目を瞑ったままのスイが手を伸ばして俺を抱き込んだ。
すべすべの掌がするりとTシャツの下に入り込んでくる。スイはまだ半分寝ぼけてて、あったかい、って呟きながら感触を確かめるように腰とか腹とか撫で回す。こっちはくすぐったいし腹がスースーするんだが。でもまだ眠かったし放っておいた。
そしたら手つきがヤらしくなってきて、肋骨とか脇を経由して胸の尖りの先を掠めるように触ってくる。スイをチラリと見やれば薄っすら開いた目蓋の間から澄んだ目がのぞいて、口の両端が上がっていた。湖面のような目の奥に淫靡な輝きが潜んでいる。
ああもうこれはそういう流れだな。されるがままにじっとしていたら、スイは身体を起こして俺に覆い被さってきた。甘えるように頬をすり寄せながらもスイの手が俺の下着の中に入ってくる。もうそこは熱を孕んでいて、スイの手が動くたびに質量と硬さが増していく。そのうち雫と吐息が漏れ出す。腰が勝手に揺らいで、我慢できなくなった声が唇の隙間から零れて、視界が白く点滅してーーーーー
電話が鳴った。
甲高い電子音が室内に響く。スイの手も止まった。
「ごめんね、ちょっと待ってて」
熱っぽい息を吐きながら、スイは俺の頭を撫でベッドから降りた。途端に温もりが消えて身体が冷える。
スイは机の上に置いたスマホを取り、中国語でもしもし、って言いながら洗面所に消えていった。
マジかよ。寝ぼけていた頭も体も目を覚ますどころか火をつけられている。二度寝してやろうかと洗面所に背を向けて転がるも、下半身に熱がまだ燻っていた。
スイはまだ戻ってこない。
下着の中に手を入れる。触れた瞬間スイの手の感触が甦り、あっという間に勃ち上がってしまった。夢中で手を動かす。頭の中はキモチイイってのとスイのことでいっぱいになっていた。
後孔にも手が伸びる。ぬるぬるした液に塗れた指はそれほど労せず入れることができた。でも横になっているとやっぱり奥まで入らない。仰向けになれば、
ベッドの横に立つスイと、目が合った。
顔を赤らめるとかそんなかわいい反応は出来なくて、勢いよく起き上がると開口一番「死ね!」って言ってた。
スイはそりゃあもうご機嫌でニコニコしてやがる。
「ねえ、何してたの」
聞くか普通?!
「我慢できなかった?」
ベッドに乗るな。そんでにじり寄るな。顔を近づけるな。
「僕のこと考えながらシてたの?」
スイは俺の下着の中に手を突っ込むと、すごいね、と笑みを漏らしながら濡れそぼった竿をなぞる。こっちは顔が沸騰しそうだった。
全力で目を背けていれば、押し倒されてジャージとボクサーパンツを剥かれた。孔に指を入れられる。すぐに根元までおさまった。いきなりだったから頭がついていかずあられもない声が出た。さらにイイところばっかり触られて、ひっきりなしに嬌声が飛び出す。これはヤバい。案の定、すぐ全身が震えて白濁を吐き出してしまった。
余韻から抜け出す間もなく、今度はスイ自身が入ってくる。
「んっ、あ、待っ・・・」
「レンが、っかわいいことするからだよ」
敏感になったナカが容赦なく抉られる。前立腺を押し潰される度に、快楽が身体の中で弾けて目の前で白い火花が散った。理性なんかとっくに吹っ飛んでて感じるままに善がった。
スイも息を乱して、俺を抱き込む腕に力が入る。
「ん、イキそ・・・」
ため息混じりの声に、スイも悦くなってんだって思うとぞくりとした。でもこっちはもう頷くのが精一杯だ。ナカでスイのものが膨らむ。スイはブルリと震え、抱擁で俺を縛り上げた。その間も奥へ奥へと突き進められる。
やがてスイは溜息を1つ吐くと、汗ばんだ顔を上げキスしてきた。リップ音をたてて何度も唇や舌を吸う。ぼうっとする頭でそれを受け止めた。啄むようなキスは首から胸へと降りていく。
「おい・・・っ」
「何?」
「挿ったままなんだけど」
「そう」
スイは事も無げに言って、胸の飾りを喰んでいる。背筋に痺れが走った。
「さっき終わったばっかだろ」
「足りないんだよ」
大食らいめ。こっちは抵抗する体力なんて残ってない。なんで動けんだよ若さかこの野郎。
でも、
「好きだよ」
って甘い言葉を落とされると、しょうがねえなって気になるから我ながらチョロいもんだ。ああくそっ、動けなくなったら風呂掃除も洗濯も押し付けてやる。今のうちにしっかり味わっとけ。
end
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