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AM3:00

真夜中に目が覚めた。 肌寒さにぶるりと震える。隣に人肌の温度を感じて横を見ればスイがいた。俺もスイもセックスの後服も着ないで眠ってしまったらしい。 画面の眩しさに目を眇めながら、スマホで時間を確かめれば深夜3時だった。身体も頭の中もだるい。もう一眠りしようと思いつつネットニュースなんかを見てたら、こめかみがくすぐられた。 スイが腕枕したまま、俺の髪を弄っている。 「目ぇ覚めた?」 ちょっとスマホの画面を伏せながら聞けば「うん」と短く答えて覆い被さってきた。スマホを放ってスイの肩に腕を回す。 スイは俺を抱き込みながら「眠い」と呟く。 だったらさっさと寝ろ。毛布を足で行儀悪く引き寄せ、スイの背中にバサリとかける。 「おやすみ」 と目を閉じた。でもスイはゴソゴソ動いてて、俺の足先まで丁寧に毛布で覆ってから横になった。 で、寝るかと思いきや俺の額や目尻や頬にキスしてくる。 「・・・んだよ」 薄目を開ければ、スイは澄んだ目を細めた。 「キスしていい?」 「は?ヤるの?」 「ダメ?」 「パス。眠い。ダルい」 頭を枕に沈める。スイが髪を梳いたり手の甲で頬を撫でたり「レン」って甘い声で呼んだりするのも無視だ、無視。 狸寝入りを決めこんでいると、スイは調子に乗って唇を啄んできた。首筋にもキスを落とされて、くすぐったさに肩をすくめる。声を殺して笑うスイにカチンときて、スイの肩口に噛みついてやった。強く吸い付いてキスマークもつけてやる。 口を離せば薄明かりの中でも分かるくらい痕がついていた。 でもスイは目を爛々と輝かせる。 もっとつけていいよ、って頭を傾けて首筋を晒す。それが妙にエロくて、あと対抗心みたいなのももたげてさっきより強く噛み付いた。思い切り歯を立ててやればさすがに痛い、って呻きに似た声を漏らした。でもスイは俺から離れようとはしない。 「初めてレンにつけてもらっちゃった」 ってご機嫌だ。 「ちゃんと隠しとけよ」 「なんで?」 「見られたらヤバいヤツもいるだろ」 疑似恋愛を仕掛けて金を捲きあげてるカモとかな。 「ああ・・・大丈夫だよ。レンは優しいね」 これからは気にしなくていいよって、ゆっくりと優しく髪に手を滑らせてくる。 それからスイの唇が降ってきて俺のに重なる。目を閉じて唇を食んだり悪戯に舌先を突いたりした。 セックスするつもりはなかったけど、身体から力を抜いて手足を投げ出した。 スイは吐息を吐き出しながら満足そうに微笑む。 それから「おやすみ」って寝転がる。 「えっ」なんてうっかり声に出てしまった。 「なに?」 スイは笑みを浮かべたままこちらを見る。いや、確信犯だろお前。 「もういい」 「なにが?」 「もういいって」 「ねえ、レン」 「うるさい。寝る」 「僕またしばらく帰ってこないよ」 「・・・・・・」 スイに背を向けて横になっていたけど、反対側を向く。スイは待ってましたとばかりに俺を抱きすくめた。 「レンは本当にかわいいね」 うるせえ、言ってろ。 スイの肩を掴んで、もう一つ噛み跡を増やしてやった。 end

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