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魅惑のポッキー!!!!

『懐かしいなぁ、皐月とはよくポッキーゲームしたよね?』 黒瀨がハロウィンの時に酔って話していた言葉を蒼はまだ覚えていたらしい。 その日は夕食の片付けを早々に終えて、さぁゴロゴロしようかな…………と、背伸びをしながら平和に過ごすはずだった。しかしながら、横目で捉えた眺めに目を瞠ってしまう。キッチン横のリビングに設置されたローテーブルに上等な赤ワインとグラス、そしてシャンパングラスにはポッキーが飾られており、まるで高級バーにいるような光景に言葉を失った。 「…………あ、蒼? ……ど、どうしたの、このポッキー?」 「ああ、今日ってポッキーの日なんだってね。だから一緒に食べようと思っててさ。皐月、仕事の締め切りもないって聞いていたから最新映画のDVDも買ってきたんだ。一緒に食べながら観てゆっくり過ごそうよ。…………あ、先にシャワー浴びておいで」 にこにこと穏やかな笑顔を絶やさず、蒼は映画のDVDパッケージを見せる。見たいと前から話していた最新映画を覚えていたのか、これ見よがしに見せつけてくる。 嘘だ。 絶対に嘘だ。 ゆっくり過ごそうという言葉に隠れた蒼の感情を勘ぐってしまう。 「そ、そうなんだ。それは楽しみだね」 普段飲まない赤ワインなんて滅多に買ってこないし、酒の分量も煩いくせに…………。呆れながら嫉妬深い蒼の行動が読めてしまい、少し笑ってしまいそうになる。 しかもこの赤ワイン、フランス産の上質な奴じゃないか……! 自分の好みを知り尽くしている男ほど怖いものはない。蒼はもっとも当たり年である年代物を探して、わざわざ選んで買ってきてくれたようだ。 いそいそと浴室にいき、シャワーを浴びる。 ドキドキと鼓動し続ける心臓を抑えながら、孔の準備もしてしまう悲しい性に自分へ同情してしまう。シャワーヘッドを外して、準備用のノズルへ付け替えると水流を弱めながら、先が尖ったゴム部分を挿入していき、お湯をゆっくりと腹へ溜めていく。蒼は一緒に準備したがるが、恥ずかしいので自分でする。 先にシャワーを浴びていいよというのはそういう合図なのだ。しかしながら、まるで蒼との夜の営みを期待しているようで余計に恥ずかしくなってしまい、準備だけで達してしまいそうな自分に情けなくなる。 準備が終わり、リビングに顔を出すと蒼がすでにワインの栓を外していた。グラスを傾け、優雅に飲みながらソファに腰掛けて待っている。DVDはセットしてあり、自分の思い違いだったのではないかと疑いそうになる。 「……蒼、お待たせ。…………あのさ、着替えが蒼のTシャツしかなかったんだけど……」 「ん、準備できた? よく似合ってるけど?」 潤んだ瞳で睨み付けるが、蒼はワイングラスを渡して、気にしない様子でにっこりと微笑む。全身を舐めるように確認されて、真っ赤に躰が火照ってしまう。 「俺、ちゃんと自分の着替えを用意したのに……」 準備完了で脱衣所に戻ると下着と着替えが消えてしまい、シャツ一枚という悲惨な姿に着替えて蒼に怒る。しかもシャツの上には猫の長い尻尾のプラグまで置いてあったのだ。 無言のメッセージに呆れながらも、従順に従う自分がほとほと情けない。 「そうだったっけ? …………おいで、皐月。一緒に飲もう?」 蒼はにこにこしながら手招きをし、しらばっくれる。シャツを引っ張りながらも股間を隠して、もじもじと蒼の傍に近づいてソファへ腰掛けた。尻には長い猫の尻尾が生え、シャツ一枚しか着ていない姿に蒼は満足そうだ。幸いにも暖房が効いているので、寒くないように気遣ってくれているところに蒼の優しさを感じる。 「…………こんなの恥ずかしいよ。」 「そう? 可愛いけどね。ほら、飲んでみて。とっても美味しいよ?」 蒼は満足そうに尻尾を指で撫でつけ、赤ワインのグラスを渡す。 一口飲むと芳醇な味わいと重めの味に舌鼓を打ってしまう。 「…………この赤ワイン美味しい。もしかして高かった?」 「さぁ、どうかな……」 蒼はするすると洗い終えた尻を撫でて、腰を引き寄せながら唇を重ねた。赤ワインの渋みと甘みが口の中へ伝わり、蒼の色気に酩酊しそうになってしまう。 「………んっ………蒼、ポッキー食べる?」 「皐月の唇に食べさせてもらいたいな。」 にこっと爽やかに笑って、蒼はポッキーが綺麗に飾られているシャンパングラスへ視線を向ける。手を伸ばして、一本のポッキーを咥えて蒼の唇に当てる。ポリポリと食べていくが、蒼はシャツを捲し上げて乳首をこりこりと愛撫し始めていき、空いた手は尻を揉みしだいていく。 なっ………!!! 「………んんっ………」 くぐもった艶声が漏れ出て、ポッキーがぽとっと蒼の唇から落ちてしまった。 「駄目だよ、ちゃんと頑張って」 尻尾の根元を押しながら蒼は尻を揉みしだいて、わざとらしく優しく微笑む。 落ちたポッキーを取り上げて、蒼の唇に入れようとするが、乳首を抓まれると痺れる甘い悦楽に酔いしれてビクビクと身体が痙攣した。シャツの滑らかな肌触りが背中に伝い、蒼は挿し込んでいるプラグを抽挿しながら反応を楽しんでいる。 「…あ……んんっ……蒼、これじゃぁ………いつまでたっても……。」 「黒瀨さんともこうしてポッキー食べていたの?」 意地悪そうな顔で耳元で囁き、プラグを奥深くに押し当てる。 「……ああっ…んん………っ…して…な……いっ……」 ジュプジュプッという音がリビングに響き渡り、卑猥な雰囲気が増していく。 黒瀨の奴、絶対に許さない…………。 短いポッキーを咥えながら、キッと潤んだ瞳で蒼を上目遣いで見上げる。 「そう? ほら、皐月、僕に頑張って食べさせてよ」 身を捩りながら、蒼の唇にポッキーをまた一本入れる。ポリポリと食べては愛撫され、落とす。それを何度も繰り返した。涙目でやっと蒼の肉感的な唇に触れられた時、プラグを一気に抜き取られた。 「んあぁ……っ……だめっ……!」 淫らに震え、蒼のシャツに白濁とした体液を放ってしまう。 肩を揺らしながら浅い息で呼吸すると、ヒクつく孔に太い指を挿入された。すでに入り口という感覚はなくなり、ヒクヒクと誘っては指を飲み込んでいき蠢いていく部分に反応してしまう。 「今度は僕もここに挿れていい?」 真っ赤になりながら頷くしかなかった。 こんな卑猥な大人のポッキーの日なんて、ごめん被りたい。 余談だが、後で黒瀬とのポッキーゲームの内容を聞かれ、「学生がするゲームだよ。こんなに厭らしくない!」と拗ねて答えておいた。本当はポッキーのチョコがなくなるまで一本のポッキーを舐めさせられ、『僕のはうまい棒だけどね』と嬉しそうに言う意味の分からない黒瀬らしいゲームなので言わないでおいた。

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