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12月16日〜年末年始 ver.翔

初めて躰を重ねた日から約2ヶ月が経過した。相も変わらず、週末に徹の家に行き、身体を重ねて過ごす生活を繰り返していた。淡白なセックスしかしてこなかった、というのが嘘のように、徹のセックスは濃厚だ。 前戯はしつこいし、挿入までに指だけで前立腺を集中的に刺激され、何度もイカされ、挿入後のピストンも激しく、最中も、弱い脇腹や乳首、背中や首筋への愛撫も休むことなくキスの雨を降らす。 初めての愛のある、その濃厚なセックスにどっぷりとハマってしまったオレは、ますます徹への想いを強めていった。『好き』『愛してる』を互いに繰り返しながら、肌を重ねるのは、最高に気持ち良かった。 本来なら勉強を優先させなければならない時期に、何をしてるのだろう、とも思うが、徹と過ごす日々も、かけがえのないものだった。 未だ仕事が忙しいらしく、週末に顔を合わせても、顔色が悪い時が増えた。それを注意しても、いつも『寝れば治る』と微笑むが、ムリをしてる感が否めなかった。 仕事を持ち帰って来た日は、キスはするが、セックスまではしない。仕事をさせることに集中して、オレも静かに勉強をしたり、軽食を用意したり、と簡単なことをすることくらいしか出来ずにいた。 年末が近付いてくると、忘年会シーズンに入って、付き合いや、接待を含んだ忘年会があったりし、その分、仕事が押して、週末も仕事で忙しくて、会社に泊まり込むから会えない、ということも続いていき、そんな頃に、しばらく会えないと徹からメールが届く。 『今週もで悪いんだけど、会社の健康診断で、引っかかったから、強制的に会社命令で、今度の週末は人間ドックで検査入院があるから、家にはいないんだ。だから、たまには、翔もゆっくり勉強を頑張って。』 翌週のメールも年末年始の休みに入る、という頃に差し掛かっていたが、ここ数年、実家には帰っていない、と言っていたのに、急にこんなメールが届く。 『ごめん、今週末から法事で田舎に帰らなくてはならなくて、日帰りもキツイし、しばらく実家に帰ってないので、年末年始は実家で迎える予定です。今回も時間が取れそうもなくて、本当にごめんね。』 挙句の果てには、年が明けて、最初の週末は、まだ、田舎にいて、その翌週に連絡を取るけれど、返ってきたのは 『本当にごめん。昨日から寒気が酷くて、体温計ったら熱があって、家にはいるけれど、寝てるだけだし、翔は、今が大事な時期だから、風邪をうつしてもいけないから、来ない方がいいよ。』 なんだかんだで、約一ヶ月放置され、別の相手が現れたのではないか、と不安になっていたオレは、避け続けられる本当の理由が知りたくて、徹の部屋を訪ねた。 高熱でふらつく足で、鍵を開けさせたのは申し訳なかったが、そこには、困った表情で出迎えてくれた徹がいた。 「大事な時期なのに、風邪をひいたら、どうするの?」 「ごめん。わがままだってわかってるけど、顔を見たかった。逢いたかったんだ。」 困った表情をしながらも、徹は相変わらずの微笑みを漏らす。頭から頬を撫でる手は優しい。けれど、その体温を確認するまでもなく、その手の異様な熱さに、早く躰を横たえなくては、と、躰を支えて、ベッドまで連れていく。 一人暮らしで、看病をしてくれる人も他にはいないくせに、体調の悪い時くらい、頼って欲しい、と思ったから、それを伝えると、今は大事な時期だから、と同じ答えしか返ってこなかった。 徹はいつか女性のパートナーを選ぶ日が来るかもしれない。それが人間としては真っ当な選択だからだ。 その不安は常について回っていたから、この時は完全に疑ってしまっていた。心の中で謝りながら、この週末は看病で過ごした。 その時、オレはなにも気付いてあげてやれなかった。 その高熱の理由も、徹が抱えていた苦悩をも。

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