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番外編 悪夢の始まり 3
こいつ『岩切真也』は高校時代の同級生であり、自分が高校で最初に出来た友達であり、そして、自分を裏切り、オレの身体を売り物にしていた男たちの主犯格だ。
高校に入って最初に仲良くなった男……岩切は、ゴールデンウイークに突入した日、泊まりに来ないか?と誘ってきた。他にも数人誘われていたので男同士みんなで一緒に遊ぼうと誘われ、のこのこ出かけて行ったのが発端だった。
岩切は、この地域の進学校……オレらの通う学園経営の一族の家庭でそだち、言わばおぼっちゃまだった。
このゴールデンウィークは家族は旅行に行っている、ということで、家の中には、朝から夕方まで、食事の準備と清掃のために、通いの年老いた家政婦がいるだけで、夜は、オレらだけになる。そこからは男同士だから油断した。
夕食を済まし、別々に風呂に入って、アダルトビデオでも見よう、というお約束な展開になったのだが……
それでも、広い岩切の部屋には、それに見合ったテレビやら、オーディオが並んでいる。逆輸入品なのか、その筋から仕入れているのか知らないが、モザイク無しの映像がある、と言うのでそれを見ることになる。
キスシーンのアップから始まり、クチュクチュと音を立てながら、舌を絡ませていた。カメラが引いていくと、服の上から、大きな胸を揉みしだいている。
服の裾から手を入れ、上着を脱がすと、派手な下着姿があらわれ、スカートも脱がすと、上下で揃った色っぽい下着の上から足を開き、愛液が滲んだ下着の上からその場所を舐めたり、指で刺激したりしてくと、女性が喘ぎ出す。
あっという間に全裸にされて、女性も男性のビキニパンツの上から、反応し始めてるその場所をわざとらしく舌を突き出して舐めまわすと、下着をずらして、勃起して形を変えたどす黒いペニスが現れる。そこからは、互いの体を舐めあって、大画面にモザイクのない全裸の男女が絡み合ってた。
女性器のアップを舌で舐めているシーンなどが映ると、わざとらしい喘ぎ声で、『あんっ、そこ、気持ちイイー、もっとぉ〜もっと、クリちゃん舐めてぇ』と上擦った声であんあん言っている。まだ、童貞集団と言ってもおかしくない連中の集まりだ。勃つのはあっという間で、部屋着仕様とはいえ、ゆったりと穿いていた短パンの前が異様に盛り上がっている。当然、見ていれば、男はそれなりの反応は示してしまうのだが、その処理方法に問題があったのだ。
普通は、勃起したそれを取り出して、扱きながら、大きさを比べたり、自分で処理をしながら、誰が早漏か、という展開になるか、トイレで抜いてくる、と部屋を変えて抜くのが当たり前ではないだろうか?と思うのだが、
「高宮は可愛いから、高宮とならできる気がする。なぁ、みんなで仲良くやってみない?お前だって気持ち良くなれれば、問題ないだろ?」
岩切が余計な提案を持ち出し、欲に塗れた野獣の火に油を注ぐ。さすがに男同士、ということに引く奴もいたが、オレもその言葉に一気に萎えた。
その場にいた全員に押さえつけられて、ただでさえ軽装な着衣をどんどん脱がされていく。
「やめてよ……ムリだよ……イヤだ!!」
そう言っても、叫んでも、暴れようとしても、助けに来てくれる人は誰もいない。
ゆっくりと立ち上がり、DVDを交換している岩切は、余裕に上着を脱ぎ捨て、オレを見下ろしていた。
「今は萎んちゃってるけど、勃ってたんだ?先走りが垂れてるよ?また、ちゃんと俺が舐めて勃たせてあげるよ。」
そう言って嗤う岩切の表情が怖かった。
怖かった。それ以上に辛かった。
また、オレは裏切られた。
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